Tommy Emmanuelのアルバム「Endless Road」を聴く

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不朽の名作Tommy Emmanuel(トミーエマニュエル)のアルバム「Endless Road(エンドレスロード)」(2004年リリース)

Mel Bay社の楽譜に、各楽曲についての情報が記載されています

もちろん英語で書かれているので、以下にその内容を訳しつつ、補足しつつ、掻い摘んで紹介します

Tommyは無目的に作曲をする人ではないので、作曲の背景がわかると、また曲が味わい深くなります

1.ANGELINA

Angelina(アンジェリーナ)はTommyの一番下の娘です[1]作曲当時の話。初めての娘Amandaの誕生から10年が経っており、彼女の誕生はTommyの人生に新しい喜びを与えてくれました。彼女のエナジー、天賦のリズムや音楽性はTommyが同じ年齢だった頃を思い出させてくれます。この曲は、彼女に捧げる曲です。

2.BELLA SOAVE

「Soave」とは、イタリアの北西部にあるぶどう畑に囲まれた古代城塞都市の名前です。その地は、毎年春に開催される素晴らしいギターフェスティバルの開催地でもあります。Tommyは何度かそこで演奏をしたことがあり、それはいつでも幻想的で、ワインも美味しく、多くのギタリストが昼夜問わずに演奏する楽しいフェスティバルです。

3.CHET’S RAMBLE

TommyとChetのアルバム”Fingerpickers Took Over the World”は、お互いにテープを送り合いながら作成しました。Tommyがそのテープを聴き直してみると、Chetが作りかけた曲を発見しました。Tommyがその曲を完成させ、”Chet’s Ramble”と名づけました。

4.CHRISTMAS MEMORIES/WHEELS

1曲目のメロディは、もちろん、クリスマスに書かれました。この曲は、雪原を走り抜けるそりのレースや家族と過ごす時間を連想させます。また、Tommyにとっても、家族と過ごしたクリスマスを思い出す曲です。2曲目[2]2曲目と云っても、シームレスに繋がっているので”Wheels”の曲を知らなければ気づくことはありませんは、彼の亡き母Virginiaとの思い出を呼び起こします。”Wheels”は彼女のお気に入りの曲でした[3]“Wheels”は1961年にアメリカでヒットした”The String-A-Longs”の曲

5.ENDLESS ROAD

この曲は、Tommyの人生において大きな変化があった時期に書かれました。そのため、多くの感情や変化を秘めています。Tommy曰く、「この曲は旅についての曲です。私たちが道を行くとき、問題や変化にぶつかります。そして、嵐を乗り切り、再び歩き出すのです。この曲はそれを教えてくれます。」

6.(THE MAN WITH THE) GREEN THUMB

Chet Atkinsは園芸の才があります。彼の親指とフィンガースタイルの奏法は、世界中のギタリストにパワフルな影響を与え続けており、彼に続く者は成長を続けています。故にこの曲名なのです。

7.LA VISITA

“La Visita”はイタリア語で”The Visit”を意味します。この単語は、発見や雄大といった神秘的なイメージを連想させます。ヴェネツィアやフィレンツェのような美しい古代都市に連れて行かれたような曲です。

8.MONA LISA

Nat King Coleのクラシックメロディの名作をすばらしい解釈でアレンジした曲です。

9.MORNING AIRE

この曲は、オーストラリアでのツアーで非常に忙しい頃に書かれました。スタッフたちが列をなして待っており、彼は少ししか眠れず、とても騒々しい日々を送っていました。彼はギターを手に取り、誰もいないキッチンに退却しました。そこでそれは起こりました。一人になるといくらか元気を回復しました。この曲は、このような退却から生まれました。平和な静けさ、朝露に満ちたハイランド地方、丘に流れる霧がこの曲には反映されています。

10.OLD TOWN

この曲は、Tommyの友人であり、素晴らしいギタリストでもあるTommy Jonesとの思い出に捧げられたものです。彼は長く苦しい病気の日々の後、亡くなりました。Tommyは彼の作曲スタイルに敬意を表しています。

11.SANITARIUM SHUFFLE

この曲は、ドイツのリップシュタットに住むTommyの友人の家で書かれました。人生の大変な時期を乗り越えた後だったため、その家やそこで受けたもてなしをサニタリウム(長期療養所)になぞらえました。気まぐれで激しい一曲です。

12.SOMEWHERE OVER THE RAINBOW

「オズの魔法使い」のテーマ曲の素晴らしいアレンジです。不安や心配事がない「ずっと上の方の[4]“way up high”の訳。原曲の歌詞に由来する。」世界の平和や輝きを連想させます。

13.SON OF A GUN

この曲は、伝説的なギタリストMerle Travisの息子Thom Breshに捧げたものです。父と息子の両者および彼らのケンタッキー・サムピッキング奏法に対して敬意を表しています。

14.TALL FIDDLER

この曲は、オクラホマ州出身の素晴らしいバイオリン弾きByron Berlineに捧げたものです。彼はおよそ2mの身長で大きな背の高いカウボーイハットを被っています。Tommyが彼に初めて会ったのはカンザス州ワインフィールドで開催された”Walnut Valley festival”でした。それ以来、幾度となく一緒に演奏しています。

15.WINDY AND WARM

この曲はクラシックのTommy版です。フィンガースタイルの「教科書」となっていた曲のため、再解釈が必要な時期に来ていました。Tommyはこの曲を取り上げ、ファンキーに仕上げています。

0.序文

Tommy Emmanuelは驚異的なギタリストです。彼のあらゆる音楽を表現するギターの妙技は世界的に認知されています。それに加え、彼はエンターテイナーであり、人々を喜ばせています。観客は、とても才能のあるギタリストが目の前にいるとすぐに気づきます。また、音楽関係者も彼の贈り物に急速に気づき始めています。1990年代の後半は、彼の良き師であり、伝説的なギタリストであるChet AtkinsとCDを録音し、アメリカでのツアーに時間を割きました。彼の住まいも、生まれ故郷であるオーストラリアからイギリスへ、最近はアメリカへ移しました。遠くない将来、Tommyがどこかあなたの近くで演奏する機会もあることでしょう。

彼の作曲は一見シンプルに聴こえますが、解析してみるとかなり複雑です。アルバム”Endless Road”の15のインストルメンタル曲は彼の多様なスタイルを示しています。ブルーグラス、ジャズ、ポップス、ゆったりとした曲、とても速い曲が聴けますし、それはあなたも、Tommyが聴いているような音楽の聴き方ができるということです。あなたがギターの初心者であろうと練達者であろうと、これらの曲を楽しむことができるでしょう。

Tommyの演奏というのはいつでも見た目以上、聴いた耳以上のものがあります。ユニークな音作りのために、複数の技術を駆使しています。弦をミュートするのも、右手の付け根を使ったり、左手の指先を使ったりします。サムピックで演奏する際は、ピックで弦を叩いたり、サウンドホール側をダウンストロークしたり、ブリッジ側をアップストロークしたりします。コードの押さえ方も、特にそれが次のコードやポジションへの動きを容易にする場合には、しばしば変わります。不要な音を出すこともほとんどありません。云いか換えると、コードネームやダイアグラムを注意して見てください。演奏されている音と同じくらいに重要な意味を持って、演奏されていない音がしばしば記載されています。どんなにたくさんの音が鳴っていても、そこには押さえられてはいるが、右手で弾かれていない音があるはずで、それが重要なのです。Tommyの曲は通常2本目のギターを必要としませんが、私[5]採譜したMark Pritcherのことが聴こえたコードを記しました。時にはメロディの1音、2音からコードを「生成」しました。コードは解析のフレームワークを提供します。多くの曲はキーが変わりますが、コードを聴くことでその変化に気づけます。通常、フレットボードダイアグラムは手・指の位置だけを示すものであり、特定のコードを示すものではありません。彼が演奏する曲の骨子はいつも同じですが、このCDに収められた曲はある程度の即興が入っており、そのため耳を使って再採譜が必要でした。Tommyは同じ曲の中でも、それが曲の演奏の助けになるのであれば、違った押さえ方をします。例えば、2フレット位置のコード”A”の場合、次に何が来るかによって、違った押さえ方をします。いくつかの曲では、Tommyはフラットピックと指を使ったハイブリッド・ピッキングと呼ばれる技術を使います。この奏法は、厳密なフィンガーピッカーにとっては課題になることでしょう。しかし、挑戦あるのみです。仮にしっくりこなかった場合でも、それらの曲はフィンガースタイルで演奏可能なことに気づくでしょう。

これらの曲の上達を促進するためには、”Endless Road”のCDが必要となるでしょう。いくつかの曲はビートに乗ったロック調であり、他には歌っているかのような演奏もあり、メトロノームでは設定しづらい曲もあります。良い例が”Mona Lisa”です。私はメトロノームに合うように強引に採譜していますが、実際のリズムを理解するにはCDを聴く必要があるでしょう。

もしあなたがまだ手に入れていないのであれば、Tommyの前作のアルバム”Only”の楽譜もMel Bayで入手可能です。

このプロジェクトを進めるにあたり自信を与えてくれたMel Bayと、忍耐強く音楽の秘密を共有してくれたTommy Emmanuelに感謝いたします。

最後に、妻のCarolと娘のKatelynnのサポートがなければ、このプロジェクトを始めることも完遂することも出来なかったと思います。コメントや質問があればgmprj1@aol.comまでお願いします。また、www.tommyemmanuel.comとwww.melbay.comのチェックもお願いします

Mark Pritcher

References

References
1 作曲当時の話
2 2曲目と云っても、シームレスに繋がっているので”Wheels”の曲を知らなければ気づくことはありません
3 “Wheels”は1961年にアメリカでヒットした”The String-A-Longs”の曲
4 “way up high”の訳。原曲の歌詞に由来する。
5 採譜したMark Pritcherのこと

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