Tommy Emmanuel―アルバム「It’s Never Too Late」を聴く

Tommy Emmanuel(トミー・エマニュエル)のアルバム「It’s Never Too Late」(2015年リリース)についての解説です

還暦を過ぎたTommyによる、マイナー調の力強い曲&物悲しい曲が印象的なアルバムです

TrueFire(オンラインのギターレッスンを提供する会社)からTommy Emmanuel自身の演奏解説動画が発売されています

解説対象はアルバム”It’s Never Too Late”の全14曲から6曲です

全14曲について解説がないのが残念ですが、解説対象の6曲について、曲の誕生秘話を以下に掲載します

1.Only Elliot

この曲は短時間で書き上げました。ロサンゼルスで写真撮影をしていたときのことです。 私のメイクアップが終わろうとしていたタイミングで、メイクアップを済ませた美しい小柄な女性が入ってきました。彼女の名前を尋ねると、彼女は「エリオット」と答えました。とても美しく、珍しい名前だと思いました。なので、たくさんの子供を産むように勧めると、彼女は「エリオットは私だけですよ!(“Oh no…only Elliot!)」と云いました。その言葉を聞いたとき、「これは曲になる!」と思い、その日のうちにこの曲を作り始め、写真を撮られつつ、合間にギターを弾きました。その結果、写真はギターを抱えたり、弾いたりしているものが多くなりました。この曲はほとんどその現場で書き上げたのですが、思った以上に素晴らしい、可愛らしい小曲となりました。

2.It’s Never Too Late

この曲はポーランドでのツアー中であった2014年12月に書きました。私の第3子のレイチェルが生まれようとしていた時期です(レイチェルは2015年1月6日に生まれました)。彼女の誕生を祝してこの曲を書きました。ツアーに帯同していたアダムという友人がいます。私は彼に曲を演奏し、「曲の第一印象を聞かせてくれ」と云いました。演奏後、彼は「面白い曲だね。マイナー調だけど楽天的な曲だ」と云いました。とても良い感想でした。私の家族の中ではこの曲を「レイチェルの曲」と呼んでいますが、この曲のタイトルは60歳になる私が赤ちゃんを授かろうとしていることに因んでいます。友人たちがプレゼントしてくれた私たちの家の表札にも「幸せな生活を送るのに遅すぎるなんてことはない!」と書かれています。この曲のテーマはそれなのです。

3.The Bug

N/A

4.El Vaquero

N/A

5.Hope Street

“Hope Street”はギターを使わずに頭の中だけで作った曲です。私がビートルズを生んだ街、リバプールへと車を走らせていた時のことです。その昨晩にジョージ・ハリスンの人生を題材にしたマーティン・スコセッシ監督のドキュメンタリー”Living in the Material World”を観ていました。私はジョージの人生、歌詞、演奏、歌、言説にとても感化されました。彼は私をあらゆる方面から感化したのです。 私は曲の着想を得たので、リバプールまで行って、詳細な作曲を始める必要がありました。リバプールに着くと、ホテルにチェックインし、ギターを手にして曲を完成させようとしました。そのとき突然「この曲のタイトルは何にしたら良いだろう?」という考えが頭を過ぎりました。その瞬間、私のナビゲージョンが「500m先のホープ・ストリートで右折してください」と云いました。「これだ!」と思いました。ホープ・ストリートはリバプール・フィルハーモニー・ホールがある場所であり、ビートルズが音楽を演奏した場所なのです。

6.Blood Brother

この曲はスティングの音楽に影響を受けています。ある日、力強く鮮明な夢をみました。戦争中に二人の兄弟が戦いに巻き込まれる話です。彼らは離れ離れになりますが、夢の終わりの方でお互いを見つけました。この曲を書いたときに、私がどこにいたのかはっきりとは覚えていません。ただ、スティングの曲を聴き、彼が使うテンションノートと可能性に満ちた美しいコードを聴いていたことは覚えています。

7.Miyazaki’s Dream

N/A

8.One Day

N/A

9.Traveling Clothes

曲のタイトル自体がほとんど説明になっていますよね?長旅で着る服を並べてみて、「旅の時にいつも着ている服たちだな」と思いました。心地よくて、柔らかくて、私とともに長い時間を過ごしてきた服たちです。もし服たちが喋れるのなら、どんな話をしてくれるだろう?彼らはみんなこの曲の中にいます。

10.TE Ranch

N/A

11.Hellos and Goodbyes

N/A

12.One Mint Julep

N/A

13.Duke

N/A

14.Old Photographs

この曲は、スティーヴン・スピルバーグの素晴らしい映画リンカーンを観た後に書きました。この映画に私は感動し、夢中になりました。気づくと祖父・祖母と過ごした子供時代のことを考えていました。祖母はよくビスケットの缶詰を開けてくれました。それらの缶の中には、戦争で帰らぬ人となった叔父の写真も含めて、家族の古い写真がたくさん詰まっていました。これらの写真が物語るストーリーや、写真の中の人物の経験は私にとっての宝物です。リンカーンの映画に感化されたことにより、私はこのような心の境地で曲を書くことになりました。感化を受ける場所にいるということはとても大切です。そうでなければ、創作することはとても難しい。何かに感化されてアイデアを得たとき、私はいつもとてもゾクゾクします。この曲もそんな曲たちのひとつです。優しさといくらかの強さを、音楽で表現しようとしました。

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