けいやがTommy Emmanuel(トミー・エマニュエル)の楽曲を採譜する際に、気を付けている/こだわっている点を解説してみたいと思います
TAB譜をなんとなく眺めているだけでは見逃してしまいそうな点もありますが、Tommyの演奏を完全再現するべく、できる限りの情報量を詰め込んだTAB譜としているので、Tommyの演奏に少しでも近づけたい!と思っている方はチェックしてみてください
トミー・エマニュエルのTAB譜を作成する際にこだわっていること
左手の押弦を正確に表現
まずは以下の楽譜を見てみてください
楽譜の部分の音符がスラーでやたらとつながっていて見にくいですよね(笑)
実はこれはわざとやっていて、Tommyが押弦している間(音が鳴り続けている間)をスラーでつないで表現しているためです
市販の楽譜なんかだと、この音の継続時間が適当なタイミングで切られていることがよくあります
まぁ、楽譜の美しさ/見やすさという観点からは、そこそこで音を切るという方法もあるとは思うのですが、Tommyの左手の指がいつ弦から離れているかを表現するためにけいやの楽譜ではこの方法を採用しています
一方で、TAB譜のほうはPower Tabの仕様上、スラーは出てこないので、TAB譜のほうを見ている限りでは、特に見辛いということはないと思います[1]なお、Power Tabには”Let … Continue reading
ただTAB譜の方だけではなく、楽譜のほうもしっかり見て、音の継続時間をしっかり意識して弾いてもらえると嬉しいです
ベース音とメロディ音を区別して採譜
サムピックを使った演奏の場合は、親指がベース音、その他の指がコード音/メロディ音を担当します
ですので、ベース音とその他の音で採譜方法を区別すると非常にわかりやすい楽譜になります
上記の楽譜を見てもらうと、ベース音の音符の線(譜幹/譜尾)が下向きに、それ以外の音の音符の線は上向きになっていることがわかると思います
なので、譜幹/譜尾の向きでその音が親指で弾く音なのかどうかは一目でわかります
連譜を正確に記載
苦手な人が多い連符表現
3連符、5連符、6連符、…となっていくと楽譜の記載と実際の音の長さの対応がよくわからなくなりがちです
例えば、以下の6連符をすぐに音としてイメージできる人は少ないのではないでしょうか
この連符表現を間違っている楽譜は非常に多い!
というわけで、けいやの楽譜ではここも正確に記載しています
アクセントもできる限り表現
アクセントは感覚のところもあるので表現が難しいのですが、明らかにアクセントがかかっているときはそれも楽譜に記載しています
上記の楽譜を例にとると、以下の記号でアクセントを表現しています
- ∧:中アクセント
- >:強アクセント
まぁ、ここまで細かく楽譜を見てくれている人はあまりいないと思いますが…
このアクセントも意識して弾いてもらえると嬉しいです
ゴースト・ノートを表現
ゴースト・ノートを「x」で表現しています
上記の楽譜の例の「x」は、実はゴースト・ノートというよりも、Tommyがリズムをとるために右手を動かしているというのが正確です
なので、音は聴こえない(聴こえなくてよい)のですが、Tommyになりきるためにはこの辺の演奏感覚も再現するべきでしょう
ダウンピッキング/アップピッキングを表現
全部ではないのですが、ダウンピッキング/アップピッキングに迷いそうなところは適宜その別を記載しています
上記の楽譜を例にとると、以下の記号でダウンピッキング/アップピッキングを表現しています
- Π:ダウンピッキング
- ∨:アップピッキング
演奏動画との同期
楽譜/TAB譜のダウンロード記事には採譜に使用したTommyの演奏動画のリンクも掲載しています
Power Tabエディターで楽譜をMIDI再生してもらうとわかると思いますが、できる限り実際のTommyの演奏と同期した形で楽譜を作るようにしています
普通、楽譜をMIDIで再生すると、「とてもMIDI的な音楽」となりますが、上記で記載してきた細かなこだわりを楽譜に入れ込むことによって、「ちょっとTommyの演奏に近いMIDI音源」を実現しているつもりです
これをするためには、動画をスロー再生して穴が空くほどTommyの演奏動画を見る作業が必要であり、それはもう辛い…いや、楽しい作業であります〆
References
↑1 | なお、Power Tabには”Let Ring”という機能があって、これを使えば「いい感じ」に音のサスティーンを残してくれるのですが、実際の演奏で「どうやってサスティーンを残すのか」を表現できないと思うので、あえて使用していません |
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