司馬遼太郎「国盗り物語」を読む

2020年NHK大河ドラマ「麒麟がくる」について、前回は濃姫(帰蝶)・沢尻エリカ・川口春奈の比較記事を書きました

今回は「麒麟がくる」の主人公・明智光秀に関連して、斎藤道三・織田信長・明智光秀を取り上げた司馬遼太郎の小説「国盗り物語」について書きたいと思います

小説「国盗り物語」について

小説「国盗り物語」は、司馬遼太郎により1963年~1966年(司馬氏40代前半)に連載された小説です

1973年にはNHK大河ドラマ化もされています

戦国時代を取り上げた作品で、小説前半は斎藤道三、後半は織田信長&明智光秀が主人公となります

小説前半(斎藤道三編)

斎藤道三は、一介の牢人・油売りから美濃国(現在の岐阜県あたり)の国主までになった男です

小説におけるキャラ設定は、何をやらせても無双なスーパー主人公で、仕事も恋も自由自在です

以下に斎藤道三の出世街道をまとめてみます(出世するたびに名前が変わります)

No.名前身分
1法蓮房日蓮宗の坊主
2松波庄九郎ただの牢人
3奈良屋庄九郎油屋女将・お万阿(おまあ)の婿殿
4山崎屋庄九郎油屋の大将
5西村勘九郎美濃国守護・土岐家の家来
6長井新九郎利政(ながい・しんくろう・としまさ)土岐家の城持ち家来
7道三美濃の国民から総スカンを食らって出家
8斎藤左近大夫秀竜(さいとう・さこんだゆう・ひでたつ)美濃国の小守護
9斎藤山城守利政(さいとう・やましろのかみ・としまさ)土岐家守護の息子を追放
10斎藤山城入道道三(さいとう・やましろにゅうどう・どうさん)土岐家の守護(国盗り完了)

基本的に無双モードで美濃国の守護(国主)まで上り詰める斎藤道三です

しかし、天下(日本)を取るところまでは寿命が間に合わず、晩年は寄る年波に勝てずに衰えてしまう描写が哀愁を誘います

そして、最後は息子(実質、妻・深芳野の連れ子)との戦に負けて首をはねられてしまいます

小説後半(織田信長編)

斎藤道三の娘・濃姫(帰蝶)と結婚した織田信長が主人公です

信長編と云いつつ、ほとんどが明智光秀視点で物語が進行するので、実質は明智光秀編です

明智光秀は濃姫の従兄弟にあたります

信長・光秀ともに斎藤道三に可愛がられた過去があり、この道三の相弟子2人が本能寺で激突するところがドラマチックです

2人のキャラ設定は、信長は破天荒、光秀は優等生気質です

信長は、最初は旧弊を恐れない若者といった感じで好青年なのですが、戦争に明け暮れるうちに、完全にダークサイドに堕ちてしまった感があり、比叡山の坊主を皆殺しにしたり、伊丹城の奉公人を海辺で磔・野焼きにしたりで、暴君というか魔王と化します

人を道具としか見ない信長が、光秀に討たれるのは必然か、といった感じです

おわりに

「国盗り物語」は明智光秀の生涯を描き通しているので、本書を読めば明智光秀を主人公とした2020年NHK大河ドラマ「麒麟がくる」がより一層楽しめると思います

また、本書は司馬遼太郎の小説の中でも、登場人物が絞られており、物語を面白くするフィクションがそれと分かる形で随所に折り交ぜられているため、とても読みやすい作品となっています

「司馬遼太郎の小説は読みにくいなぁ」と思っている方にもおすすめの1冊です〆

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