佐藤健二「患者に学んだ成人型アトピー治療」を読む

書籍「患者に学んだ成人型アトピー治療―難治化アトピー皮膚炎の脱ステロイド・脱保湿療法」を読みました

著者は2020年現在、阪南中央病院皮膚科部長の佐藤健二氏です

アトピー性皮膚炎(正確にはステロイド依存性皮膚症)に対する治療法のひとつである脱ステロイド・脱保湿の方法について詳しく解説されています

医学用語を使用した説明のため、多少読みにくい所がありますが、丁寧に読み進めれば一般人でも十分に理解が可能です

本書で述べられているアトピー性皮膚炎(AD : atopic dermatitis)に対する考え方の特徴は以下の2つです

  • 難治化アトピー性皮膚炎=ステロイド依存性皮膚症+アトピー性皮膚炎
  • アトピー性皮膚炎の原因はアレルギーではない

難治化AD= ステロイド依存性皮膚症+AD

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より正確に記載すると以下のようになります

難治化アトピー性皮膚炎=ステロイド依存性皮膚症

           +免疫抑制剤依存症(プロトピック、ネオーラル等)

           +保湿依存症

           +アトピー性皮膚炎

要するに、アトピー性皮膚炎が治らないと悩んでいる人は、本来のアトピー性皮膚炎の症状以外に外用剤(ステロイド、プロトピック、保湿等)依存症を併発しているという考え方です

そのため、まずは外用剤の使用を中止(脱ステロイド、脱保湿)して、難治化アトピー性皮膚炎の状態から抜け出し、本来のアトピー性皮膚炎の症状だけに持っていくことを目指します

脱ステ、脱保湿はADに対する治療ではない

ここで注意しなければいけないのは、佐藤健二氏が提唱する脱ステロイド、脱保湿療法は、難治化アトピー性皮膚炎に対する治療であって、アトピー性皮膚炎に対する治療ではない[1] アトピー性皮膚炎に対する治療として、脱ステ・脱保湿を提唱する医師も居ます ということです

つまり、脱ステ・脱保湿は、上記式の右辺の「ステロイド依存性皮膚症」「免疫抑制剤依存症」「保湿依存症」に対する治療になります

この点を勘違いしてしまうと、「脱ステロイド・脱保湿したのにアトピーが治らない!」と不満を持つことになります

本来のADに対する治療法は?

すると当然、「本来のアトピー性皮膚炎に対する治療はどうするの?」という疑問がわきます

その答えはズバリ「何もしない」です

アトピー性皮膚炎は本来は自然回復するもので、特別な治療は必要としないという立場です

なお、外用剤への依存症を併発していないアトピー患者に対しては、保湿治療はOKだそうです

ここで課題となるのが、外用剤への依存症を併発しているかどのように見分けるのか?ということです

その答えはズバリ「わからない」です

生まれて間もない子供のように、ステロイド外用剤の未使用が確実に分かるのであれば保湿治療はOKなのですが、一度でもステロイド外用剤を使用したことがあるのであれば、その皮膚炎の症状が外用剤依存症なのか、本来のアトピー性皮膚炎なのか判別不可能なため、脱ステロイド・脱保湿療法+α(水分制限等)を選択することになります

アレルギーが原因ではない

IgEアレルギー検査で陽性反応が出たものをなるべく体内に摂取しないように、食物制限を行う治療が広く行われていますが、アトピー性皮膚炎の悪化・改善とIgE抗体の有無に相関はないとの立場です

つまり、アトピー性皮膚炎の治療に食事制限は必要ないとのことです

もちろん、本当の食物アレルギーがある場合は、その食物は摂取してはいけません

その他の本書の特徴

けいや自身も重度のアトピー性皮膚炎を患って入院・脱ステ・脱保湿を経験したことがあります

そんなけいやが共感できる本書の記述を以下に示します

食事制限は必要ない

けいやもIgEアレルギー検査をすれば、多くの食物が陽性反応を示します

ただその食物を食べたからといって、皮膚炎が悪化するという実感はありません

「口の周りが多少痒くなる気がする」程度の実感はありますが、この痒みもせいぜい30分くらいしか継続しないので、アトピー性皮膚炎の直接的な原因ではない気がしています

周囲の人は「掻くな」と云わない

同感です

アトピー性皮膚炎の痒みは我慢できるものではありません

仮に手足を縛り付けて我慢しても、ストレスが蓄積し、程なくして爆発的な掻破が発生します

掻くのを我慢する方法を考えるよりも、優しく掻く方法(爪を切る等)を工夫する方が建設的です

漢方は民間療法と同じ

けいやも2年間に渡り、漢方治療で体質改善に挑戦したことがあります

結果は、その効果をほとんど実感することができませんでした

効果がないことに加え、毎食後に3包の漢方薬を服用し続けるのが精神的にも金銭的にも億劫になり、漢方治療は中止しました

おわりに

本書は、脱ステロイド・脱保湿療法について詳しく記載されているため、本書を読めば個人でも脱ステ・脱保湿の実践が可能です

しかし、けいやとしては個人のみでの脱ステ治療はおすすめしません

というのは、ステロイドの離脱症状は激烈のため、皮膚状態の経過を定期的に医師に診断してもらったほうが良いと考えるからです

また、入院しないのであれば、脱ステ開始時は日常生活が送れなくなる可能性が高いため、家族のサポートも不可欠です

難治化アトピー性皮膚炎の患者にとっては、脱ステロイドをするか/しないかは大きな選択です

脱ステロイドを検討される方は、本書は一読の価値があると思います〆

References

References
1 アトピー性皮膚炎に対する治療として、脱ステ・脱保湿を提唱する医師も居ます
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