「財閥ってなに?なんか強そう」くらいの知識しかなかったので、菊地浩之氏著の書籍「日本の15大財閥」を読みました
財閥研究のダイジェスト版のような本であり、事前知識がない人にも読みやすい本でした
以下に要点をまとめておきます
財閥ってなに?
財閥とは「富豪の家族・同族の封鎖的な所有・支配下に成り立つ多角的事業体」だそうです
…つまり、なに?
となりますが、もう少し平易な表現でゆるく定義すれば「大金持ちの家族が大企業をいくつも経営すること」です
財閥と企業集団の違い
財閥は戦争遂行に協力したとの理由で、戦後GHQに解体させられました
ですので、現在は財閥は存在しません
しかし、その名残の企業集団は存在します
財閥と企業集団では株式所有構造が異なります
財閥の株式所有構造
所有構造のピラミッドが明確です
例えば、
創業者一族 ⇒ 持株会社 ⇒ 財閥直系企業 ⇒ その子会社・孫会社
のような感じで力関係がはっきりとしています(⇒の左側が株式所有側)
企業集団の株式所有構造
株式の持ち合いが基本です
例えば、
- A社の株式を、B社が数%、C社が数%、D社が数%所有
- B社の株式を、A社が数%、C社が数%、D社が数%所有
- C社の株式を、…以下同様
のような感じです
親会社はありませんが、例えば、B社、C社、D社が連携すればA社の親会社的な発言力を得られます
財閥の比較
本書では15の財閥について紹介されていますが、ここでは3大財閥と呼ばれる三菱・住友・三井について比較してみます
比較項目 | 三菱 | 住友 | 三井 |
勃興 | 低い身分から一代で財閥を築く | 江戸時代からの富商 | 江戸時代からの富商 |
創業者 | 岩崎弥太郎 | 住友政友 | 三井八郎兵衛高利 |
創業時の事業 | 海運業 | 銅商 | 呉服屋 |
屋号 | ― | 泉屋 | 越後屋 |
中興の祖 | 岩崎小弥太 | 鈴木馬左也 | ― |
発展期の事業 | 製造業中心 | 製造業中心 | 金融・商業中心 |
戦前の規模 | 中 | 小 | 大 |
戦後の規模 | 大 | 中 | 小 |
企業風土 | 組織の三菱 (年功序列・チームプレー重視) | 結束の住友 (年功序列・チームプレー重視、国家意識が強い) | 人の三井 (個人の資質・創造性を重視) |
グループ内の序列 | グループ内の序列あり (三菱重工の力が圧倒的) | 平等主義 (グループ内での小競り合いが発生しやすい) | ― |
関連グループ | キリンホールディングス、等 | NEC、パナソニック、アサヒホールディングス、等 | 東芝、三越伊勢丹ホールディングス、トヨタ自動車、等 |
社長会 | 三菱金曜会 (毎月第二金曜) | 白水会 (ハックスレー[1]銅の技術を伝えた南蛮商人→白水→泉屋) | 二木会 (毎月第二木曜) |
このように比較してみると、同じ大財閥とは云えども、それぞれの個性が見えてくる気がします
三菱グループの飲み会はキリンビール、住友グループの飲み会はアサヒビール、というような背景が理解出来るだけでも面白いのではないかと思います
このような内容について理解を深めたい方には、「日本の15大財閥」はおすすめの本です〆
References
↑1 | 銅の技術を伝えた南蛮商人 |
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