2019年度「ANAホールディングス株式会社」の決算書を読む

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ANAホールディングスの2021年度の業績予想が純損益△5,100億円の赤字となりました

5,100億円ってなかなかインパクトのある数字ですが、ANAは大丈夫なのでしょうか?

気になったので、2019年度の決算書を読んでみました

2019年度の連結経営成績

2019年度のANAホールディングスの連結経営成績です

ANAのホームページにある決算短信から数字を引用しています(単位は百万円です)

2019年度前年度比
売上高1,974,216△4.1
営業利益60,806△63.2
経常利益59,358△62.1
親会社株主に帰属する
当期純利益
27,655△75.0
営業活動による
キャッシュ・フロー
130,169
投資活動による
キャッシュ・フロー
△230,218
財務活動による
キャッシュ・フロー
23,869

2019年度末は既にコロナの影響が始まっているので、2018年度に比べて売上・利益ともにマイナスになっていました

しかし、まだ600億円ほどの営業利益がしっかりと出ています

キャッシュフローは、営業が+、投資活動が-、財務活動が+なので、銀行からお金を借りながら投資を増やしつつ営業利益を伸ばしていこうとする成長企業のような姿が想像されます

そもそもANAホールディングスとは、どんな事業を抱えているのでしょうか

短信によると、以下の4種の事業があります

  • 航空事業:国際線、国内線、貨物、LCC等
  • 航空関連事業:搭乗受付、手荷物搭載等の空港地上支援業務、航空機整備等
  • 旅行事業:旅行代理店等
  • 商社事業:航空機部品、食品等
  • その他:不動産関連事業等

これらの事業の中で減益しているのは、航空事業と商社事業のようです

2020年度の連結業績予想

さて、それでは2020年度の業績はどのような予想となっているのか見てみましょう

2020年度前年度比
売上高740,000△62.5
営業利益△505,000
経常利益△500,000
親会社株主に帰属する
当期純利益
△510,000

うーん、前年度に比べて売上が1兆円落ちて、営業利益が5,050億円の赤字になっていますね

売上が1兆円落ちるってあんまり聞いたことがない規模なのですが、以下の第2四半期(半年分)の成績(栄養利益・損失)を見ると本当のようです

  • 航空事業:△2,777億円
  • 航空関連事業:87億円
  • 旅行事業:△40億円
  • 商社事業:△28億円
  • その他:8億円

航空事業ですでに2,800億円弱の赤字が出ています

コロナで旅客需要が大きく落ち込んだことによる赤字ですが、その詳細は分かりません

ANAホールディングスのホームページを見ると連結従業員数は45,849名とあります

仮にこの人数が半年間仕事なしで給料だけ払い続けたしても

  • 45,849名×50万円×6ヶ月=13,754,700万円

すなわち、1375億円で2,800億円の半分にも及びません

遊んだ航空機の維持費や場所費用で多額の赤字が出ていると予想されます

ANAは大丈夫なのか?

こんな莫大な赤字を出してANAは耐えられるのか?ということが気になりますが、短信の最後に以下のように書かれています

借入等の資金調達を行い、グループ各社の手元流動性の確保に努めてまいりますことから、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しています。

つまり、お金借りてるから大丈夫です!ということらしいです

なんでもすでに1兆円のお金を借りているので、当面の間はキャッシュアウトしないとのこと

融資で食いつないでいる間に、事業形態を整理していくのでしょう

ただ「大丈夫です!」と云われてもコロナの状況が見通せない中では「本当に?」と思ってしまうところではあります

業績回復に向けた施策としては、外部企業への出向による人件費の削減、航空機の早期退役などが含まれているようです

上記で赤字内容の計算をしたように、人件費の整理だけではなく、余った航空機をどうにかしないと業績回復は見込めないようなので、コロナ時代に向けてダイナミックな変化を要求されており、なかなか大変な状況です

出向先としては、スーパー成城石井、家電量販店大手ノジマが公表されており、実際に出向させられる人の心情もとても気になるところです(退職を選ぶ人も多そう)〆

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