Tommy Emmanuel Guitar Method – Episode 6

「Tommy Emmanuel Guitar Method – Episode 6」の解説です。

本エピソードが最終話になります。

ハープ・ハーモニックスの歴史や奏法、ギターの練習方法についてTommy Emmanuel(トミーエマニュエル)が語ります。

ハープ・ハーモニックス奏法について

多くの人が私が弾くハーモニックスについて質問してきますが、もちろんこの技術はChet AtkinsやLenny Breauから来ています。Ted Greenもハーモニックスをとても上手く弾きました。彼はコードに対する理解が深いので、彼のハーモニックスは他の人とは一味違います。そして、Lenny Breauはハーモニックスを誰も到達できなかったレベルまで高めたと思います。私はLennyのようなハーモニックスを他に聴いたことがありません。Lennyの遺産や彼が残したものにありがとうと云いたいです。ハーモニックスにはいくつかの方法があります。指だけで弾こうとする人もいますが、この方法は良い音が出ません。この奏法のアイデアは、ベルが鳴り響いている感じです。弾き方は2通りあります。まずはフラットピックを使う方法があります。中指と親指でハーモニックスを弾き、人差し指でハーモニックスのポジションを触ります。Dのコードで弾いてみるとこんな感じです(演奏)。ピックが指板に当たるので、少しノイズが出ます。サムピックを使えばもう少し良い音が出ます。ハーモニックスを弾くときは、音の明快さを得るために、中音域のギターアンプ設定を強くします。この弾き方の原理は、人差し指でハーモニック、薬指でオープンノート/ナチュラルノートの繰り返しです。コードE9の形で弾いてみると、6弦のハーモニック(HA)、3弦のナチュラルノート(NN)、5弦のHA、2弦のNN、4弦のHA、1弦のNN、3弦のHAです。右手の場所は、左手のポジションからオクターブ上/12フレット上の場所です。左手の形を、12フレット上でなぞります。左手のポジションが1フレット下がれば、右手の場所も1フレット分下がります。左手の形を変えれば、弾く場所も変わります。左手の形と同じ形を右手の場所でなぞる必要があります。弾く弦の順番は6(HA),3(NN),5(HA),2(NN),4(HA),1(NN),3(HA)が基本です。ナチュラルノートから始める方法もあります。この場合の弦を弾く順番は、4(NN),6(HA),3(NN),5(HA),2(NN),4(HA),1(NN),3(HA),2(HA)です。ひとつのコードでより長く、多くの音を弾きたい場合は、6弦、5弦、4弦のナチュラルノートを弾いてからハーモニックスに入ります。こんな感じです(演奏)。すべての音をひとつのコードポジションで弾いています。初めの6弦~4弦のナチュラルノートで音数を稼いでいるからです。

1弦から弾き始める場合は、 1(HA),2(HA),3(HA),1(NN),4(HA),2(NN),5(HA),3(NN),6(HA),4(NN),5(NN)です。他の良い方法として、小指でハンマリングを加えることがあります(演奏)。3番目の音はプルオフで出しています。すべての音は鳴り響いたままです。この奏法は、聴く人の耳をハープを弾いているように錯覚させることができます。すべての音が鳴り響くことが大切です。前にも述べたとおり、左手の強さがこれを可能にします。もうこの場所で長いこと弾いていますが、私の左手はまだ疲れていません。あなただったら休憩したくなるかもしれません(笑)。とにかく、こうやって弾くのです(演奏)。基本的には左手の形を決めて、その形をハーモニックスとナチュラルノートを使って右手側に再現します。それらの音は半音しか離れていないときもありますが、それらの音を同時に鳴らします。私がハーモニックスを好きになったのは、Chet Atkinsが彼のアルバム”Chet Atkins Goes to the Movies”に収録されている”Somewhere Over the Rainbow”でハーモニックスを弾いたときでした。このバージョンは、ベースメロディのその裏でChetがハーモニックスを弾きます。こんな具合にです(演奏)。ベースはこんな感じです(演奏)。ハーモニックスは、右手の中指を軸にして弾きます(演奏)。これはLennon-McCartney名義の”Michelle”ですね。この曲のアレンジには時間を要しました。この曲をアレンジしたのは70年代ですが、今でもまだ弾いています。このようなアレンジは誰もしないですからね(笑)。

ギターの練習方法について

よく基礎練習や反復練習をするのか聞かれますが、私はそういった練習はせずに、必要なことしか練習しません。つまり、自分が好きなものを弾き、それに必要な練習をします。私はいつも自分が弾きたいものを弾いていますが、いくつかの練習方法があります。一番良い練習法としては、私はこれを「心からの練習」と呼んでいますが、ステージに立ち、観客が自分を見ていると思って曲を弾くことです。この演奏に自分の生活がかかっていると思うことです。自分の人生をかけて練習し、曲を弾くのです。私はとりとめもなく演奏するような時間の無駄をしたくはありません。そのため、私は曲を弾くし、それに必要な練習だけをします。例えば、難しい曲はその難易度に自分の手が対応できるまで何度でも繰り返し練習します。他の例としては、”Cannonball Rag”のようなテンポの速い曲は何回も通して弾きます。これは純粋に自分の手の筋肉の強さと持久力を保つためです。また、一番良い練習になるのは、他の演奏者と一緒に演奏することです。それが自分の演奏にとっては一番良いことです。相手が次の5小節の間に、新しいことを押し込んできたり、挑戦してきたりするかもしれません。また、即興の練習もします。12小節ブルース[1]ブルースでポピュラーな12小節のコード進行のこと。Cのキーの場合は、C-C-C-C-F-F-C-C-G-G-C-Cとなる。を弾いてみましょう。演奏が始まれば、例え途中で混乱しても演奏は止めません。自分がバンドの先頭に立って演奏していることをイメージして弾きます(演奏)。こんな感じです。その場でアイデアを思いつき、それを演奏します。半音上を弾いたりしてとにかく弾き続けます。ただ繰り返しているだけになることもありますが、そのときはそれに気づいて、違った方向性を探します。即興演奏は楽しいですし、練習にも良いです。心拍数が上がり、うっすらと汗をかくのが分かります。なぜなら、気合いを入れてアイデアをその場で思いつかなければいけないからです。これはとても面白いです。16歳のときはこんな練習もしていました(演奏)。こんな感じの速弾きを手が動くようになるためにしていました。それが必要と思っていたからです。ただ自分より上手な演奏者と一緒に過ごすようになって、スケールを練習するよりは、音楽を作るべきと考えるようになりました。もちろんスケールを知っていることも大切ですが、そのスケールをどれだけ創造的に使えるかが大切です。Frank Vignolaのようなギタリストと一緒に演奏するのはとても良いことです。彼はいつも私にギターはただのギターではないということを思い出させてくれます。ギターはホーンにもなるし、ドラムにもなるし、バイオリンにもなります。Frankの演奏を聴けば「すごい!トロンボーンみたいに聴こえる!」ということがあるでしょう。彼はいつもそれを私に思い出させてくれます。心をオープンにして、余計なところを装飾しないで、本当に伝えたいことを云う。それが私のようなカントリーミュージックで育った者の姿です。ジャズの演奏は冒険ですが、それでも私が好きなので、ある種のロックンロールの要素が入り込んでしまいます。Stevie RayがJoe Passに出会うような感じでしょうか。私はそういうのが好きです。Joeの知識と技術がStevieの個性とブルースと出会うようなサウンドが好きです。〆

References

References
1 ブルースでポピュラーな12小節のコード進行のこと。Cのキーの場合は、C-C-C-C-F-F-C-C-G-G-C-Cとなる。

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