ロビン・ウィリアムズ「ノンデザイナーズ・デザインブック」を読む

考えてみたらデザインの「デ」の字も知らない人生でした

ということで、Robin Williams(ロビン・ウィリアムズ)氏の著書「The Non-Designer’s Design Book(ノンデザイナーズ・デザインブック)」を読みました

タイトルは「デザイナーでない人のためのデザインの本」という意味です

素人向けのデザイン本ということで、デザインなんてセンスでしょ?という感覚から抜け出すための基礎的な理論を教えてくれます

基礎的な考えを積み上げて発展させていくという手法はどの分野でも共通のものですが、デザインの分野もその例外ではありません

デザインの結果だけ見ると、「基礎のセオリー守ってないやん!」と思うこともしばしばですが、本書でもたびたび強調されるとおり、要は何でそうしたかを説明できることが重要です

ルールを知らなければ、ルールを正しく破ることはできません

基本ルールは近接・整列・反復・コントラスト

デザインの基本は近接・整列・反復・コントラストです

CRAP(うんこ)で覚えましょう

つまり、Contrast(コントラスト)、Repetition(反復)、Alignment(整列)、Proximity(近接)の頭文字です

本ルールを適用する順番は本書では明言されていませんでしたが、本書の説明の順番で行くと、近接→整列→反復→コントラストの順なのかなと思いました

見えない線を意識する

デザインの改善例は本書を見てもらうとして、その他思ったことをあれこれと。

  • 見えない線を意識することが大事なのかなと。意味的にまとまりのあるものを近接して、近接のグループ内・グループ同士で整列させれば、どこかで位置が揃うわけで、それが見えない線としてデザイン性を高めてくれる。じゃあ、はじめから線引けばいいじゃん、とも思いましたが、線を引くと空間が狭くなり息苦しい感じがしてイケてないということかなと(こういうイケてないというのはもろ感覚的表現ですが、このへんまで踏み込んで理論化するのは本書でもできていない模様)。
  • 画像の強い線を利用してテキストを右揃えや左揃えで整列させるのが著者は好きなのかな。中央揃えはそれが中央揃えと明らかにわかる状況でなければ使う意味はないらしい(なんとなく中央揃えは禁止)。
  • 読んで欲しい優先順位は大事。年月日をとっても2022年9月24日とするか、2022924日とするかで読み手の印象は変わる(多くの場合、具体的な日付の数字が重要なのであって、年月日の漢字は文脈でわかるのだから文字を小さくしてもよい)

ダッシュ(―)の意味

本書の中盤でタイプライターの歴史の流れから何故かダッシュ(―)について熱く語られており、勉強になったので以下にメモします

ダッシュには以下の分類があります

  • ハイフン:ただのハイフネーション。論理的な意味はない。odd-looking criteersなど。
  • Enダッシュ(エンダッシュ):大文字Nと同じ幅を持ったダッシュ。時刻や月の間に入る「to」の代わり。7-12 years of ageなど。
  • Emダッシュ(エムダッシュ):Enダッシュの2倍の長さ、大文字のMとほぼ同じ長さのダッシュ。文中でピリオドでは強すぎるが、コンマでは弱すぎる箇所に使われる。Beware-the enigma is gaining on the paradigmなど。

なお、本ブログのテキストではEnダッシュとEmダッシュの区別はできないのでハイフン(-)で入れています

フォントの種類

本書の著者は間違いなくフォント中毒者(略してフォン中)でしょう

素人が気にしない/気づかない些細なフォント違いへのこだわりが半端ではありません

フォントのカテゴリーとしては6種類で整理されていますが、個人的な感想と合わせて以下に列挙します

  • Oldstyle(オールドスタイル):手書きの感じ(ペン先が紙に触れた瞬間にインクが滲むのを防止するために微妙にペン先を動かした跡(「セリフ」と言う)が特徴的)
  • Modern(モダン):Oldstyleよりちょっとメカニカル(先の傾きが少なく、線の太さのコントラストが極端)
  • Slab Serif(スラブセリフ):Modernの細い線部分を太くしたもの
  • Sans Serif(サンセリフ):セリフがないフォント
  • Script(スクリプト):筆記体
  • Decorative(デコラティヴ):デコったフォント

ちなみに上記は完全にアルファベットに限った話で、和文フォントの明朝体やゴシック体とは全く別の区分です

あえて言うなら、オールドスタイが明朝体(可読性が高い、長文向き、文字が多くても紙面が黒くならない)、サンセリフがゴシック体(可視性が高い)に対応しているかなというくらいです

フォン中の作者はとうとう最後の方ではカーニング(文字の間の微細なスペースを調整する作業)の説明を始めます

同じサイズの●と■でも●のほうが小さく見えるのは●のほうが空白部分が多いからで、このような視覚的錯覚を考慮して文字間のスペースを手作業で調整する必要があるとのこと(これこそ感覚の作業かと)

ここまで気になるようになれば、意識高い系の素人の領域には入るのかなと思いました〆

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