Tommy Emmanuel – “Waltzing Matilda(ワルチング・マチルダ)”を聴く

以前の記事でTommy Emmanuel(トミーエマニュエル)が演奏するWaltzing Matilda(ワルチング・マチルダ)の自作TAB譜を紹介しました(以前の記事はこちら

今回はWaltzing Matildaの曲について解説したいと思います

Waltzing Matildaについて

オーストラリアでとても有名な曲

Waltzing Matildaはオーストラリアでは知らない人がいないというほど有名な曲です

この曲の歴史は古いです

  • メロディの原型は1818年作成のスコットランド民謡
  • 歌詞の原型は1895年にオーストラリアで作成

その後、様々なバージョンが歌い継がれ、今のバージョンに落ち着いたようです

以下で歌を聴いてみましょう

Slim Dusty – Waltzing Matilda

とても力強く行進曲のような雰囲気があります[1]実際にアメリカの海兵第一師団の行進曲としても採用されているようです。そういえば、Scott Fitzgeraldの”The Great Gatsby”でも軍人たちがWaltzing … Continue reading

放浪者の歌

そもそもWaltzing Matildaの意味ですが、直訳すると放浪する路上生活者の鞄となります

  • Waltzing:ふらふら歩く
  • Matilda:路上生活者の鞄(毛布をまるめて鞄状に担げるようにしたもの)

どちらの単語もオーストラリア英語の意味です

要するに「ふらふら歩く放浪者」と連呼しているわけです

決してマチルダという女性とワルツを踊る歌ではありません

なお、歌詞の内容は「放浪者が羊を盗んで、牧場主・警察に追いかけられて、湖に飛び込んで死ぬ」というものです

以下に歌詞も載せておきます(拙訳はけいや)

オーストラリア英語の単語が多く使われています

Once a jolly swagman camped by a billabong
ある日、陽気なさすらいの労働者が湖のそばで野宿していました
Under the shade of a coolibah tree
あるユーカリの木陰の下で
He sang as he watched and waited ‘til his billy boiled
鍋が煮えるのを待ちながら、彼は歌いました
“You’ll come a-Waltzing Matilda, with me”
「俺と一緒に来ないか」と

Waltzing Matilda, Waltzing Matilda
さすらいのマチルダ、さすらいのマチルダ
“You’ll come a-Waltzing Matilda, with me”
「俺と一緒に来ないか」
He sang as he watched and waited ‘til his billy boiled
鍋が煮えるのを待ちながら、彼は歌いました
“You’ll come a-Waltzing Matilda, with me”
「俺と一緒に来ないか」と

Down came a jumbuck to drink at the billabong
湖の水を飲みに羊が降りて来ました
Up jumped the swagman and grabbed him with glee
さすらいの労働者は大喜びで羊に飛びかかりました
He sang as he shoved that jumbuck in his tucker bag
羊を食料袋に押し込みながら彼は歌います
“You’ll come a-Waltzing Matilda, with me”
「俺と一緒に来ないか」と

Waltzing Matilda, Waltzing Matilda
さすらいのマチルダ、さすらいのマチルダ
“You’ll come a-Waltzing Matilda, with me”
「俺と一緒に来ないか」
He sang as he shoved that jumbuck in his tucker bag
羊を食料袋に押し込みながら彼は歌います
“You’ll come a-Waltzing Matilda, with me”
「俺と一緒に来ないか」と

Up rode the squatter, mounted on his thoroughbred
サラブレッドに跨った牧場主がやって来ました
Up rode the troopers, one, two, three
騎馬警官も1人、2人、3人とやって来ました
“With the jolly jumbuck that you’ve got in your tucker bag?”
「食料袋に入れた陽気な羊と一緒に」
“You’ll come a-Waltzing Matilda, with me”
「俺達と一緒に来てもらおうか」と

Waltzing Matilda, Waltzing Matilda
さすらいのマチルダ、さすらいのマチルダ
“You’ll come a-Waltzing Matilda, with me”
「俺達と一緒に来てもらおうか」
“With the jolly jumbuck that you’ve got in your tucker bag?”
「食料袋に入れた陽気な羊と一緒に」
“You’ll come a-Waltzing Matilda, you scoundrel with me”
「俺達と一緒に来てもらおうか」

Up jumped the swagman and sprang into the billabong
さすらいの労働者はさっと湖に飛び込みました
“You’ll never take me alive”, said he
「俺は決して捕まらない」と彼は云いました
And his ghost may be heard as you pass by that billabong
その湖のそばを通るとき、亡霊の歌が聞こえるかもしれません
“You’ll come a-Waltzing Matilda, with me”
「俺と一緒に来ないか」と

Waltzing Matilda, Waltzing Matilda
さすらいのマチルダ、さすらいのマチルダ
“You’ll come a-Waltzing Matilda, with me”
「俺と一緒に来ないか」
His ghost may be heard as you pass by that billabong
その湖のそばを通るとき、亡霊の歌が聞こえるかもしれません
“You’ll come a-Waltzing Matilda, with me.”
「俺と一緒に来ないか」と

“You’ll come a-Waltzing Matildad, with me”のフレーズが何度も使われますが、文脈によって意味が変化するのが非常に上手い歌詞になっています

なぜ人気なのか?

放浪者の歌が、なぜオーストラリアで国民的な歌なのか、日本人からしたら謎です

オーストラリア人によると以下の意見が挙がっていました

  1. 放浪者の姿に、権力者(イギリス)の柵(しがらみ)から逃れて自由を獲得したオーストラリア人の矜持を投影しているから
  2. 昔から歌い継がれているから
  3. 単に歌いやすいから

「1.」については、捉え方は人によりけりですが、なるほどなと思います

「2.」と「3.」はとてもわかりやすい意見ですね

Tommyの演奏するWaltzing Matilda

さて、Tommy Emmanuelが演奏するWaltzing Matildaを聴いてみましょう

Tommy Emmanuel – Waltzing Matilda HD

歌のバージョンに比べると、とても軽快で明るい雰囲気です

ただよく聴くと、曲の中盤の特に軽快な部分はWaltzing Matildaのメロディラインと違うことが分かります

上手いこと繋ぎ合わせているので気づきにくいですが、実は曲の中盤で“Along the Road to Gundagai”という曲が挿入されています(Tommyはこれをよくやります)

Along the Road to Gundagaiについて

こちらも有名な曲

こちらもオーストラリアでは有名な曲で、1922年に作られたフォークソングです

以下は軍楽隊風のアレンジのバージョンになります

Along The Road to Gundagai – ANZAC Australian/New Zealand Song – Fire and steel

“Gundagai”はオーストラリアのNew South Walesにある小さな町で、オーストラリアの典型的な農村とされています

実家に帰る歌

内容はいたってシンプルで、実家であるGundagaiに帰る旅路の歌です

それもウッキウキな感じです

以下に歌詞も載せておきます(拙訳はけいや)

There’s a track winding back
曲がりくねった道がある
To an old-fashioned shack
古びた小屋までの
Along the road to Gundagai.
ガンダガイへの道に沿って
Where the blue gums are growing
ユーカリの木が生い茂る
And the Murrumbidgee’s flowing
マランビジー川が流れる
Beneath the sunny sky,
晴天の空の下で
Where my daddy and mother are waiting for me
父親と母親が私を待っている
And the pals of my childhood once more I will see.
子供の頃からの仲間たちにもまた会えるだろう
Then no more will I roam when I’m heading right for home
さぁ、ぐずぐずしないで家に帰ろう
Along the road to Gundagai.
ガンダガイへの道に沿って

Along the Road to Gundagai/Waltzing Matildaの誕生

この2曲の組み合わせが誕生したのは、Tommy EmmanuelとChet Atkinsが共作で発表したアルバム“The Day Finger Pickers Took Over the World”においてです

Chet Atkinsにとっては、本作が最後のレコーディングアルバムとなりました

TommyとChetの師弟のような関係性を考えると、聴いていて涙が出てくる作品です(二人の関係性についてはこちらの記事をご覧下さい)

演奏もとても美しく、お勧めのアルバムです

おわりに

以上がTommy Emmanuelが演奏するWaltzing Matildaについての解説になります

個人的にはずっと「マチルダという女性とワルツを踊る歌」だと勘違いしていたので、皆さんも気をつけてください

記事を読んでいただき、ありがとうございました〆

References

References
1 実際にアメリカの海兵第一師団の行進曲としても採用されているようです。そういえば、Scott Fitzgeraldの”The Great Gatsby”でも軍人たちがWaltzing Matildaを歌うシーンがあったような気がします。

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