ドキュメンタリー「ブラックホール:知識の境界線に挑む」を観る

眠れない夜が続いている。頭から離れないのはブラックホールの情報パラドックス。考えれば考えるほど、自分の存在が不確かになっていく。

ホーキング放射でブラックホールが消えるとき、ブラックホールに吸収された情報も消えてしまう。しかし、これでは量子力学の大前提である情報の不滅と矛盾する。この矛盾を解決するために、人間たちはあれやこれやと考える。例えば、情報は消えておらず、ブラックホールの表面に符号化されているだけではないのか、とか。3次元情報を2次元情報に符号化するのはホログラム技術と一緒で、宇宙がブラックホールにホログラムされているのであれば、そもそも私達人間自体もホログラムされた結果なのではないか。だってホログラム自身にホログラムを認識することはできないのだから。

確かに、この世界は人間に都合が良いように出来すぎていると以前から思っていた。宇宙はわけがわからなすぎるのに、物理法則は数式で記述できる形で存在しているように見える。それ自体が都合が良すぎる。誰かが目的を持って記述した世界、あるいは自己が認識できる範囲で都合よく創造された世界のような気がする…。

とまぁ、そんな睡眠不足の生活をプレゼントしてくれたドキュメンタリー「ブラックホール:知識の境界線に挑む」に感謝である。

Watch Black Holes | The Edge of All We Know | Netflix
Follow scientists on their quest to understand and capture the first image of a black hole while exploring the limits of...

本作自体は、情報パラドックスの説明がテーマではなく、ブラックホールの画像を追い求める天文学者と、情報パラドックスに挑む理論物理学者の戦いの日々を記録したドキュメンタリーです。なお、ハワイやチリなどの地球上8箇所の巨大望遠鏡を使用し、各サイトで1日あたり1.5ペタバイトの観測データ取得して、苦労して生成した世界初のブラックホールの画像を観たときのけいやの感想は「出来損ないのドーナッツみたい」でした。すみません。

※なお、真面目な感想として、天文学のような研究にはあまり予算がつかず、低予算少人数でプロジェクトを遂行しているので、どうしても体制が不十分というか、徹夜して対応するとか、そういう負担を端々に感じる映像でした。そのような努力を積み重ねる各位に敬意を評したいです。なので軽々しく「出来損ないのドーナッツ」とか言ったらいけません。

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