紫式部「紫式部日記」を読む

枕草子を読んだのであれば、私のこともよろしくね、と天の声が聞こえた気がしたので、紫式部の「紫式部日記」を読みました

本日記では清少納言批判のパートがありますが、2人の関係は何なのか、どうして批判しているのか、そのあたりを理解して読むと色んな事情が透けて見えてきて面白いです

清少納言のライバル

源氏物語の作者として有名な紫式部ですが、清少納言のライバルとしても有名です

ライバルと言っても、紫式部が日記の中で一方的に清少納言をこき下ろしているだけで、清少納言としてはいい迷惑ですが、これは紫式部の単なる好き嫌いを超えた、中宮(天皇のパートナー)間の代理戦争であると言えます

そう、紫式部は中宮・定子(ていし)の女房(世話係)、清少納言は中宮・彰子(しょうし)の女房なのです

紫式部日記を執筆している時点で、すでに中宮・定子は若くして亡くなっていますが、それでも清少納言の枕草子が中宮・定子時代を美化し続けているため、紫式部はそれを阻む必要がありました

  • 清少納言なんて、かしこぶって漢字を書き散らしてるけど、全然足りない子よ。人と違うアピールがダサい。

なかなか辛辣な批判です

紫式部の成長物語

こんな直球の清少納言批判を書く紫式部ですから、たいそう気が強い女性かと思いきやそうではありません

女房としては初出勤した際は、同僚が誰も仲良くしてくれないという理由で家に逃げ帰り、そのまま5ヶ月以上家に引きこもっています

なんで同僚から無視されたのかというと、実は源氏物語の作者が出勤してきたということで、同僚はみな紫式部のことを「高慢ちきで怖い才女」だと勘違いしていたからというのが、本日記の最後の方で明かされます

そんな雰囲気にも気づかず「無視された!もう嫌!」と傷ついて殻に閉じこもる紫式部はもともとは平安貴族らしい内気な女性だったようです

ただそれは女房としての実績を詰む前のお話

女房勤めの経験をへた紫式部は、清少納言を公然と批判できるまで成長を遂げるのです〆

コメント

タイトルとURLをコピーしました