さかなクン「一魚一会〜まいにち夢中な人生!〜」を読む

――さかなクンの半生が知りたくて

さかなクンはどうしてあんなに魚に詳しいのか、あのふざけているようで真面目なスタイルはどうやって生まれたのか、そんなことが気になって彼の自伝がないかなぁー、と調べたらありました

そんなわけで、さかなクンの著書「一魚一会〜まいにち夢中な人生!〜」を読みました

思ったとおりの魚づくしの人生であり、魚好きからくる独特なエピソードも豊富で、とても面白く一気に読んでしまいました

魚への全振り人生で、周りとはちょっと違う変わった子であっても、彼がそれを引け目に感じることなく、のびのびと魚力を伸ばせたのは、母親の存在や周りの人々にも恵まれた結果なのだろうなと思える一冊でした

なお、漢字にはすべてルビがふられているので小さいお子さんでも読めるように配慮がなされています(内容自体は中学生以上向けな感じはしましたが)

本書の感想

やっぱりちょっと変わった子

読んでいて一番初めに思ったのは、さかなクンは世間一般の平均的な子供ではなかったようだ、ということでした

本書には彼が描いたイラストが沢山掲載されていますが、子供の頃に描いたイラストがとても上手なのです

特に目が止まったのは、彼が3歳頃に描いたと思われる車の絵

すでに奥行きを表現して立体的に描かれています

私見ですが、幼少期に3Dの絵が描ける子は相当賢いです

そして、好きになったものにはとことん熱中する

子供の頃は、どんな子でも多かれ少なかれ好きなことに熱中する傾向はありますが、その集中の度合が一般的な子供とは一線を画していたようです

イメージとしては、好きになったことは数ヶ月、数年単位で没頭するといった感じです(つまり飽きっぽくない)

トラックくんと妖怪くん

なお、さかなクンが魚にハマる前は、まずはトラック、続いて妖怪にハマっていたようです

彼の熱中遍歴は以下の通り

  • トラック→妖怪→タコ→ウマヅラハギ→魚全般(小学校2年生ごろから)

一歩間違えればトラックくんや妖怪くんになっていたかもしれないですが、これだと今のさかなクンみたいな活躍は難しかったかもしれません(魚ってそれだけリーチできる層が広いのだと思います)

お魚で生きる道を探して

お魚に熱中しすぎて学校の勉強はからっきしだったさかなクン(ランドセルには教科書ではなく魚の図鑑をいつも入れていた模様)

進学という選択は取れなかったので、進路についてはいろいろ悩んだようです

彼の職業遍歴は以下の通り

  • 魚屋さんでバイト→専門学校(水産生物科→アニマルケア科)→水族館実習→熱帯魚屋さん→お寿司屋さん→イラストレーター→東京海洋大学客員准教授

およそ大学の先生になるための再現性のあるキャリアパスとは思えませんが、一芸を極めるとはこういうことなのでしょう

なお、イラストレーターより前の、お寿司屋さんのようなチームや組織で働くような仕事は基本向いていなかったようです(失敗を繰り返す、いつまで経っても上達しない)

お魚とおなじだなぁ

さかなクンはいじめにあったことはなかったようです

というより、彼の意識が魚に向きすぎているため、いじめっ子も気圧されてしまうというか、住んでる次元が違うといじめも成立しないんだなと思いました

そんなさかなクンがいじめについて思うことが「お魚と同じだなぁ」というもの

メジナを水槽で飼うといじめが発生する。いじめられっ子を排除しても、いじめっ子を排除しても、新たないじめられっ子、いじめっ子が発生していじめはなくならない。広い海の中では仲良く群れを作って泳いでいるのに。

人間の世界でいじめが発生するのも、狭い世界に閉じ込められたときなのか

いじめたり、いじめられたりしているときは自分が狭い世界に閉じ込こもっていないか今一度確認をすべきなのかもしれない

そんなことを考えさせられる洞察であるなと思いました

映画「さかなのこ」

実は本書、2022年9月にのん(能年玲奈)さん主演で映画化するみたいです

さかなクンの性別が変わってしまっていますが、確かにストーリー的には主人公が男性でも女性でも成り立つ話だとは思います

本書はとても面白かったので、映画もヒットしてくれると嬉しいです〆

映画『さかなのこ』公式サイト
“さかなクン”のすっギョい人生がまさかの映画化!のん主演、沖田修一監督最新作

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