岡本太郎「自分の中に毒を持て」を読む

岡本太郎について知っていることが、

「芸術は爆発だ」

「太陽の塔を作った人」

くらいのけいやが、岡本太郎氏の著書「自分の中に毒を持て」を読みました

読後の感想は素直に「岡本太郎ってめちゃめちゃすごい人やんけ…」でした

本書がはじめて出版されたのが1988年ということを考えると、彼の思想は随分時代を先取りしていたのではと思いました

本書の感想

人間愛に満ちている

なぜかを言葉にするのが難しいのですが、とにかく人間愛に満ちた考え方の人だなと思いました

「人間は本来、無目的・無条件のものだ」という考えから出発して、一方で社会に属するためには目的・条件を明確にして行動しなければならず、そればかりになると人間本来の性質(これを芸術性と呼んでいるのだと思う)が圧殺されるため、人生が虚しくなる

本書を読んでいて、けいやの中ではそんな風に言っているように感じました

幸福な人生(なお、岡本太郎は「幸福」という言葉は嫌いなので、岡本太郎風に表現すると「歓喜ある人生」)を歩むには、その芸術性を発揮する(これも岡本太郎風に表現すると「芸術性をひらく」ですかね(~をひらく、という表現を多用していた))必要があるのでしょう

なんかこう、幼い子供が犬を見て反射的に指をさして「わんわん!」と言っているような、そういう人間の生の感性を大人になってもTPOをわきまえて発揮する必要があるのではないかと強く思いました

岡本太郎の超絶モテエピソード

岡本太郎は1930年から10年間パリで過ごしていたそうです

戦前ですからかなり特殊な環境というか、そりゃ平均的な日本人の枠外から外れるなという感じはします

本書では岡本太郎の恋愛観や恋愛遍歴が書かれているのですが、その内容がすごい

雰囲気的には、街を歩いていて偶然相手と目と目があって気づいたら一緒に暮らしている、といった感じ

全く理解不能は状況ですが、とても魅力的な男性でモテたということは伝わってきます

調べてみると、岡本太郎の身長156㎝だったみたいです

当たり前ですが、男の魅力は身長ではない、ということを再確認です

一本筋が通った男というのは、万国共通でモテるということでしょう

下手でもいい

よく「下手の方が実はよい」なんてことを聞くことがありますが、その理由を言語化してくれている人は少ないです

岡本太郎はこのことに関して、その理由を「心が参加しているから」と言います

つまり、下手な人の方が上手くいかない不安やそれを乗り越えて作る情熱が作品に反映されるといことです

上手な人や職人の場合は、「心より先に手が動いてしまう」場合があり、そうなると作品はつまらなくなっていく

岡本太郎の考え方は、こういう人間性に根差したコペルニクス的転回を示していることが多く、読んでいて勇気づけられるし、それが現代社会(分業社会と言った方が良いのかな)に対するアンチテーゼにもなっているため爽快であると感じました

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