さんざんTommy Emmanuel(トミー・エマニュエル)の記事を書いているのに、おすすめアルバムの記事がないことに気づきました
ですので、本記事ではTommy Emmanuelのおすすめアルバムを紹介します
本音を云えば「全部聴こう!」なのですが、それでは元も子もないので、ここでは聴く人のタイプ別に3つのおすすめアルバムを紹介したいと思います
トミー・エマニュエルのおすすめアルバム3選
ギターを弾く人向け
ギターを弾く人、特にソロギターに興味がある人にとっては、Tommy Emmanuelの圧倒的なパフォーマンスを始めて見たときの衝撃は大きいことでしょう
そんな「大きな衝撃」をしっかり保証してくれる3枚です
意図したわけではありませんが、結果的にTommyが40代でリリースした3枚のアルバムを選ぶこととなりました
心・技・体が高いレベルで融合し、パフォーマンスが最高潮に達したTommyの作品たちです
ギターを弾く人なら、Tommyが奏でる音楽のレベルの高さをより実感できるはずです
Only(2000年)
このアルバムを一言で表現するなら「美しい」です
Tommyのソロ・アルバム[1]アコースティック・ギター1本、Tommyひとりをメインにしたアルバムという意味です。アコギ1本でないソロ・アルバムは過去にもあります。のキャリアをスタートさせた1枚であり、曲の美しさを引き出す丁寧な演奏が光ります
バンドやスタジオ・ミュージシャンとして活躍していたTommyの「俺の本当にやりたかったことはこれなんだ!」という想いを静かに爆発させたような、ある種の芸術性を感じる作品です
このアルバム以降は、アップテンポの曲が増える傾向にあるTommyですが、本アルバムはスローテンポ/ミドルテンポの曲を中心にしっかりとギターを弾きこんでおり、他のアルバムとは一味違った凄みが感じられます
ギターソロ・アルバムのまさに金字塔、是非とも一人でも多くの人に聴いてほしいアルバムです
Endless Road(2004年)
前作「Only」のリリースから4年、2枚目のソロ・アルバムとしてリリースされたのが本作「Endless Road」です
一言で表現するなら「優しさ」でしょうか
アルバムのジャケットを見てもらえばわかりますが、前回の「Only」の頃と比べて、Tommyが急激に老け込んでいます
「4年の間に何があったんだ?」と思いますが、いろいろプライベートで辛いことがあったようで、すっかり白髪になってしまいました
そんな辛い経験を乗り越えたことが関係しているのか、アルバムの中身は空間系エフェクトの使用を抑えた優しさに満ちた音作りになっています
収録された曲たちも、子供、挫折・療養・復帰、父との別れ等、人生の節目をテーマにしたものが散りばめられており、アルバムを通して聴くと「人生の奥深さ」を感じさせてくれます
このアルバムも間違いなく傑作の1枚でしょう
The Day Finger Pickers Took Over the World(1997年)
Tommyの恩師Chet Atkinsとの共演アルバムです
3枚目にこのアルバムを選んだのは、内容が素晴らしいことはもちろんなのですが、ギターを弾く人なら、このギター界における歴史的な瞬間のひとつを見逃さないでほしいという想いが強かったからです
4歳でギターを弾き始めたTommyが、7歳頃にラジオで流れてきたChetの曲を耳にしたところから、運命の歯車は回り始めたと云ってもよいかもしれません
その後、11歳でChetに手紙を書き、25歳でChetとの対面を果たし、Chetが亡くなる4年前の42歳で遂に共作の本アルバムを発表するストーリーはとてもドラマチックです
TommyのスタイルはChetがいなければ確立されることはなかったことを考えると、このアルバムは明らかにフィンガースタイル・ギターの歴史的交差点と云えるでしょう
そんな文脈でこのアルバムを聴いてみると、Tommyの「遂にこのときが来た!」というChetへの想いと、ふたりの溢れんばかりのギター愛が感じ取れて、涙が出てくる作品です
楽器は弾かないけれど音楽は聴く人向け
「楽器は弾かないけれど、音楽は聴くよ」ということで、Tommyのより大衆向けなアルバムを紹介します
ギターソロやフィンガースタイルをマニアックな領域と云うつもりはありませんが、ここではより大衆に馴染みのあるバンド編成で録音された曲がメインになります
Christmas Memories(2016年)
アルバムのタイトル通り、クリスマス・ソングを集めた一枚です
欧米の和気あいあいとしたクリスマスの雰囲気が伝わってきて非常に楽しいです
動画で見ると、例えばこんな感じです
ね?楽しいでしょう?
誰が聴いても楽しめること請け合いの1枚です
ギター的な観点からは、Tommyのソロプレイに加え、バッキングプレイが堪能できるのもこのアルバムのおいしいところです
バンドの編成は、Tommy Emmanuel(トミー・エマニュエル)、Pat Berguson(パット・バーゲソン)、John Kwowles(ジョン・ノウルズ)、Annie Sellick(アニー・セリック)です
Classical Gas(1995年)
Tommyとオーケストラの共演、とにかくめちゃ格好良いです
ギターに興味がない人でも、エレキとアコギとオーケストラの秀逸なアレンジにはっと耳が驚くことでしょう
やはりストリングスが入ってくると、とても壮大な雰囲気が出てきます
Tommyのソロギターでお馴染みの「Classical Gas」「The Hunt」「Country Wide」のオーケストラ・アレンジを聴けるのもこのアルバムだけです
Terra Firma(1995年)
Tommyの兄Phil Emmanuel(フィル・エマニュエル)との共作アルバムです
幼少期から家族バンドで活躍してきた2人の息の合い方が半端ないです
音楽の内容を言葉で表現すると、ロックンロール、ブルース、クラシックなどのジャンルをEmmanuel兄弟の音楽センスで1980年代のロックテイストに仕上げたような作品とでも云いましょうか
基本的に「ご機嫌サウンド」で気分を上げたいときには打ってつけなアルバムです
なお、アルバムのタイトルにもなっている「Terra Firma」は、2000年のシドニーオリンピックの閉会式で、TommyとPhilが演奏している曲でもあります
音楽玄人向け
ここからは音楽玄人向けということで、耳が肥えている人向けといいますか、響きが複雑になりがちで音楽をあまり聴かない人には取っつきにくいといいますか、つまり、より大人向けのTommyのアルバムを紹介します
Heart Songs(2019年)
TommyとJohn Kwowles(ジョン・ノウルズ)の共作アルバムです
本アルバムは、タイトルの通りまさにハート・ソングで、心と体に音楽が染み込んでいくような感覚が味わえる優しい音色が特徴です
夜も更けたころに、おいしいお酒を片手に、少し薄暗い間接照明の中でこのアルバムを聴けば、白目をむいて昇天してしまうことでしょう
「こんなに音楽に優しくされたこと初めて」
そんな呟きがふと漏れてしまいそうです
The Colonel & The Governor(2013年)
TommyとMartin Taylor(マーティン・テイラー)の共作アルバムです
まさにふたりの異次元すぎるギタリストが奏でる異次元すぎるミュージックです
ふたりの演奏も、ジャズ風のアレンジも、全体の雰囲気も、すべてが超絶なのですが、決して嫌味がなくセンス良いのが素晴らしいです
それに加え、世界中の多くのギタリストを絶望させるようなエピソードですが、ほとんどの曲を打ち合わせなしのジャム・セッションで録音しているらしいです
「こんなにギターがうまい人が、この世の中にはいるんだな」と思わせてくれる1枚です
Just Between Frets(2009年)
ふたりの異次元すぎるギタリストが奏でる異次元すぎるミュージック、パート2、TommyとFrank Vignola(フランク・ヴィニョーラ)の共作アルバムです
TommyとFrankの組み合わせは、いつも超絶演奏をしているイメージが強いのですが、本アルバムでは勢いは控えめで、丁寧にジャズしている印象です
丁寧に弾いている分、余計うまさが目立つというか、安心して気持ちよく聴けるジャズ・アルバムとなっています
個人的なおすすめ
ここからは蛇足ですが、けいやが個人的に好きなTommyのアルバムトップ3を紹介します
「3枚だけ選べ!」と云われれば、以下の3枚を選びます
Classical Gas
なんだかんだで一番聴いているアルバムです
ギターとオーケストラの組み合わせが珍しく、他のアルバムでは代替できない聴きごたえがあります
本当にアレンジが壮大で格好良い!
あと終わりから2曲目に収録されているTommyとSlava Grigoryan(スラバ・グリゴリアン)のコラボ演奏の「Pan Man」が狂おしいほど好きです
Endless Road
一生大切にしたいアルバム「Endless Road」です
個人的にアルバムと同タイトルの「Endless Road」という曲に思い入れが強すぎて、このアルバムを選ばざるをえません
アメリカのラジオ番組「WoodSongs Old-Time Radio Hour」において、Tommyがこの「Endless Road」を披露しており、たまたまその動画[2]Show Archives No. 349です。無料で視聴できます。を視聴したのが、けいやがTommyに没頭するきっかけでした
初めて「Endless Road」を見たときの衝撃は、本当に頭をハンマーで殴られたような衝撃でした
「スタンダード・チューニングでここまでできるんだ!」
と、当時オープン・チューニングの可能性に魅了されていたけいやを一気にスタンダード・チューニングの世界に引き戻した衝撃的な出来事でした
それ以来、ずっとTommy Emmanuelというギタリストに注目し続けているわけなのです
Only
うーん、3枚目はどれを選ぶのか難しいのですが、結局「Only」を選びました
このアルバムをきっかけに、Tommy人気が世界中に広がっていくわけで、やはりそれだけのエネルギーがこのアルバムにはあるのだと思います
「伝説はここから始まった」という歴史的ターニングポイントです
おわりに
本記事では聴く人のタイプ別にTommy Emmanuelのおすすめアルバムを3つ紹介しました
冒頭にも書きましたが、本音を云えば、「全部聴こう!」です
でもそれでは何から手を付けたら良いかわからないという面もあると思うので、あえて3枚に絞って紹介しています
ですので、既にTommyのファンの方は「あのアルバムが入っていない!」と怒らないようにしてくださいね
今回、本記事を書くにあたり、改めて各アルバムを聴きなおしましたが、やはりすべて素晴らしいアルバムです
ひとりでも多くの方に、Tommyのアルバムを聴いていただけると嬉しいです〆
References
↑1 | アコースティック・ギター1本、Tommyひとりをメインにしたアルバムという意味です。アコギ1本でないソロ・アルバムは過去にもあります。 |
---|---|
↑2 | Show Archives No. 349です。無料で視聴できます。 |
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