ドキュメンタリー「リターン・トゥ・スペース」を観る

「我々は他惑星型生物に進化する。その進化に不可欠なのが完全に再使用可能なロケットだ」

普通の人が考えたこともないことを考える人がいるものだなとつくづく思いますが、2022年アメリカ製作のドキュメンタリー「リターン・トゥ・スペース(Return to Space)」を観ました

Watch Return to Space | Netflix Official Site
Elon Musk and SpaceX engineers embark on a historic mission to return NASA astronauts to the International Space Station...

イーロン・マスク氏が率いるスペースXの有人飛行成功までの軌跡を描きます

タイトルの「リターン・トゥ・スペース(宇宙に帰る)」は、1972年に人類が最後に月面着陸して以降、久しく人類は月に行っていないことを指しているのかなと思いましたが、月へ、そして火星への意気込みを感じるタイトルです

マスク氏の執念

スペースXは民間会社なので顧客からお金をもらって会社を操業する必要があります

で、宇宙船の打ち上げに関してNASAと契約することを目指すわけですが、宇宙産業への民間参入ということでさまざまな抵抗を受けます

その中でもイーロン・マスク氏がショックだったのが、アポロ計画の宇宙飛行士から非難を受けたことです

  • アポロ11号の船長ニール・アームストロング:「望ましくない結果が想定される」
  • アポロ17号のユージン・サーナン:「この提案に焦点はなく、実際はどこにも行けないでしょう」

この批判に対して、涙ぐみながら「我々の活動を見に来てほしい。見方も変わるでしょう。」と回答するマスク氏の表情がとても印象的でした

結果としては、フォルコン1の1〜3回目の打ち上げは失敗し、開発資金はほぼ尽きかけてしまうのですが、マスク氏が私財をぶっこんで、4回目の打ち上げを敢行し宇宙船を軌道上に乗せることに成功しました

執念すごいです(4回目も失敗していたらどうなっていたのか…)

チャレンジャー号の失敗

過去の打ち上げに関する事故として1986年のチャレンジャー号の爆発事故があります

打ち上げ73秒後に爆発、7名全員の宇宙飛行士が亡くなりました

スペースXによる有人打ち上げの際にも、当然この過去のトラウマがスタッフ全員の頭によぎります

打ち上げ直前の緊張感は尋常じゃありません

そして、打ち上げ直前の緊張感MAXのときに天候不順による打ち上げ延期が通達されるシーンがあります

この重圧がまだ続くことに対するスタッフの感情の整理はとても大変なようです

コロンビア号の失敗

危険なのは打ち上げだけではありません

宇宙から帰還するときも命がけです

帰還時の大気圏再突入の際の過去の事故としては2003年のコロンビア号の空中分解事故があります

こちらもチャレンジャー号の事故と同様に7名全員の宇宙飛行士が亡くなりました

宇宙飛行に携わるスタッフは、打ち上げの際に緊張MAX→宇宙船が軌道に乗ると少しほっとする→大気圏再突入の際に再度緊張MAXという緊張の波にさらされるようです

地球規模の壮大なビジョン

人類の火星移住という最終目的に向けてひた走るスペースX(というかイーロン・マスク氏)から今後も目が離せません

スペースXの開発スピードには眼を見張るものがあるのですが、以下のような考え方で進めているようです

NASAは書面で問題解決し(ロケットのすべての工程で認定がある)、スペースXはテストと失敗を繰り返す(爆発してもなにか学べるだろう)

やはりスピードという面では、致命的な事故さえ起こさなければトライ・アンド・エラーこそが最善の方法なのかなと思うなどしました〆

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