山崎圭一氏の著書「一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書【経済編】」を読みました
「経済編」の意味は、「お金の流れで歴史をみよう」ということです
歴史の教科書は時系列展開が多いですが、本書はお金の流れにポットライトを当ててストーリーを展開させます
時系列の教科書は既に読んだことがある、時系列の教科書には飽きてしまった、という方にはとてもおすすめの本です
本書の感想
本書は特に近代以降(資本主義経済が登場してきたあたりから)の歴史がとてもわかりやすいです
特に金本位制、自由貿易、社会主義、バブル経済、等の内容がわかりやすく解説されていると感じました
世界の分業
世界が分業化していくと「生産と販売」を担当する国と「原料と市場」を担当する国に分かれていきます
先進国と言われる国は「生産と販売」を担当することが多いです
最近の日本は「原料と市場」の地域になりかけているのでは?という危惧が読んでいて頭をよぎりました…
金本位制
現在は金本位制ではないですが、その理由は金本位制は戦争に向かなかったからだそうです
- お金が大量に必要な時に紙幣を大量発行できない
- 軍需物資の買い付けで輸入が増大するので金が海外へ流出する
そんな理由で金本位制を採用しているとお金が自由に刷れずに戦争ができないようです
要するに無理したいときに無理できないってことですね
いやいや、お金を大量に刷ればインフレするでしょ?と思いましたが、インフレには時差があるので、やっぱり無理がしやすいということかなと思いました
ドイツへの賠償金
第一次世界大戦後にドイツに課せられた賠償金は1,320億金マルクだそうです
これは現在の日本円に換算すると数百兆円規模で、ざっくり日本の数年分の国家予算となります
しかも「金マルク」というのは「金」に裏付けられたマルクということで、お金を大量に刷って返済するのは不可、とされていました
昔の人はよくこんな無理なことを要求するな、と思いましたが、結果はドイツの「カネ」と「モノ」のバランスは著しく崩れハイパーインフレーションが発生、物価が1兆2000億倍になり、不満を募らせたドイツはファシズムへと傾倒していくのでした
自由貿易は世界平和をもたらす
自由貿易が叫ばれる昨今ですが、自由貿易って何が良いの?という話です
自由貿易には以下のようなメリットがあります
- 分業による効率化
- 「もちつもたれつ」による世界平和
要するに自分は得意分野に集中することで作業の効率化が図れるし、苦手分野は輸入することで相手依存になり戦争できなくなるということです
社会主義
資本主義と社会主義の違いは?という話です
端的に表現すれば、生産手段(土地や工場)が私有なのが資本主義、国有なのが社会主義です
で、社会主義がなぜ上手くいかないかというと、以下の人間の本能を精神論で乗り切ろうとしているからです
- サボりたい
- ズルしたい
資本主義は、サボりたい・ズルしたいを仕組みで解決しています
つまり、頑張れば人より豊かになるという仕組みです
社会主義は、 サボりたい・ズルしたいを理念で解決しようとします
つまり、「同じだけ働き、同じだけもらう社会が平等でしょ?みんなそう思うよね?」と宣伝しまくります
しかし、精神論には限界があり、みんな言うことを聞かないので、結局、国の強い統制が必要となり、社会が鬱屈していきます
バブル経済
バブル経済って結局何?と皆さんも一度は思ったことがあると思います
これも具体的に言えば、低金利でお金を借りて、土地や株式を買い、それらが値上がりしたら売って借金を返す人がたくさん出てきたら、それはバブルです
そんなことしたら土地や株式は無限に値上がりしそうですが、もちろん実体経済を伴っていないので、どこかで限界がきて急激に値段が下がります
そのタイミングで借金をしている人は、お先真っ暗になります〆
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