ジム・コリンズ「ビジョナリー・カンパニー①」を読む

「~ということがビジョナリー・カンパニーに書いてあった」なんていう意識高い系の会話が時折耳に届くことがありますが、何やらビジネスマンを夢中にさせる名著が「ビジョナリー・カンパニー」らしい…

ということで、ジム・コリンズ氏の著書「ビジョナリー・カンパニー〜時代を超える生存の原則〜」を読みました

読了後の感想は以下のとおり

また、海外のビジネス本独特の活字量が多いスタイルで書かれているため(読んでいていデール・カーネギー氏の「人を動かす」を思い出しました)、読み進めるのが多少しんどかったです

以下も正直な感想です

  • このシリーズ⓪~④の5冊もあるのか…(白目)
  • 最後の2割の文章は注釈とか参考文献で読み飛ばせたのでほっとした

最後の「やっと8割まで読んだけど、まだ2割残ってるのか…」からの「最後はほとんど読まなくていいやんけ!」の爽快感は格別です(謎の感想)

本書の感想

ビジョナリー・カンパニーとは

流石に「ビジョナリー・カンパニーって何?」という状態だと、本記事を読み進めるのが苦痛になる気がするので説明しておきますと、ビジョナリー・カンパニーとはすごい優秀な会社のことです

こう表現すると「ふざけてるの?」と思われるかもしれませんが、一言で表現しろと言われたらやっぱりこれです

もう少し補足するとしたら、ビジョナリーとは「未来志向の」とか「先見的な」とかの訳が当てられるので「未来志向の会社」すなわち優秀な会社であり続ける仕組みを持った会社のことと理解しました

ちなみに「優秀な会社」とは、「長期にわたって社会から企業価値が認められている会社」くらいで考えておけば良いでしょう

じゃあ例えばどんな会社がビジョナリー・カンパニーなのかと言えば、3M、アメリカン・エキスプレス、ボーイング、フォード、ゼネラル・エレクトリック、ヒューレット・パッカード、ジョンソン&ジョンソン、P&G、ソニー、ウォルマート、ウォルト・ディズニーなどが挙げられています

ちなみに本書は1995年の著書です

2022年現在からみて「優秀な会社であり続けている」という点からある程度正しい選定なのではないかと思えます

ほとんどがアメリカの企業の中(ジム・コリンズ氏はアメリカの人なので当然ですが。あと彼は超イケメンです)、ソニーが入っているのが印象的ですね

2022年のソニーは凋落からの目覚めの最中なので、やっぱりビジョナリーな仕組みを持った会社なのかもしれません

基本理念について

基本理念とは即ち「何があっても絶対変えないこと」です

時代が進むと社会環境や価値観は変化していくものですが、そんな変化にさらされても変えないものが基本理念です

例えば、技術開発に挑戦し続けるとか、品質第一とか、人々の健康増進に貢献するとかでしょうか

基本理念の内容は何でもよい

この基本理念ですが、実は基本理念の内容自体は何でもよいみたいです

それよりも、その内容を首尾一貫して実践できていることがビジョナリー・カンパニーの条件になります

「基本理念の内容が何でもよいって本当かい?」と思ってしまいますが、確かに理念が正しいか/正しくないかなんて誰にもわからないですよね

例えば、「きのこで人々を幸せにします」という会社があったとして、「なんだその基本理念は」と思う一方で、その会社の社員全員の行動が「きのこで人々を幸せにする」という目的に向かって首尾一貫していたら、それはとても優秀な会社になるのではないかと想像はできますよね

基本理念は作るものではない

基本理念でなるほどと思ったことをもうひとつ

基本理念とは作るものではなく、内面を見つめて見つけ出すものということです

これは「絶対不変の価値観は作り出せるものではなく、自分の内側に存在している、探し出せ!」ということかと思いますが、これは人は年を取ればとるほど、会社で言えば設立から時間がたてばたつほど、今までの軌跡が基本理念の答えになっているという趣旨としても理解できます

内側から見つけ出すという点で、アドラー心理学の共同体感覚(共同体感覚は人間の内面に内在しており、後天的に獲得するものではなく、内面から掘り起こすもの)の話にも似ているなと思いました

あなた自身の基本理念は何ですか

この基本理念の話は、会社の話に限らず、一人の人間や家族としての話にも置き換えられると思います

本書を読んでいて、しきりに「自分の基本理念は何だろう?」と振り返ること至極でした

そしてその基本理念を貫くことが、ビジョナリー・カンパニーならぬビジョナリー・パーソンひいてはビジョナリー・ファミリーとなる第一歩なのかと思いました

時計を作る話、とか

基本理念以外のその他のビジョナリー・カンパニーの特徴と感想についても簡単に触れておきましょう

さらっといきます

時を告げる預言者になるな

時を告げる預言者は一回こっきりでその人が死んだらおしまいなので、時計を作る設計者を作って、いつの時代も時を告げる状態にしないといけないという話

時計を作る設計者とはつまり優秀な経営者を継続して輩出する仕組みのことですね

これはこれでその通りだと思うのですが、これとは全く関係なく、フリッパーズ・ギターの「今何時かを知ることより、時計の中を開けて見てみたいから~♪」という歌を思い出して、これは好奇心の話で、本書に記載している内容とは別であるという理解の深め方をしたことをここに記載しておきます(久しぶりに聴きなおしてもやっぱり良い歌です)

ANDの才能

ANDの才能とは、あれもこれも全部同時に成立させよう、という無茶苦茶に難しい話です

普通は「こっちを立てたら、あっちが立たない」となり、「どっちかだけでも成立させよう」となります

これを「ORの圧力」と本書では表現しています

ビジョナリー・カンパニーは「ORの圧力」に負けずに「ANDの才能」を発揮している(つまり、あれもこれも成立させようと頑張っている)のだそうです

「ORの圧力」の話は、TOC(制約条件の理論、Theory of Constraint)のコンフリクト(衝突)の話が思い起こされました(昔、エリヤフ・ゴールドラット博士のザ・ゴール2を読んで目から鱗を落としていた思い出)

BHAG

社運を賭けた大胆な目標 (BHAG:Big Hairy Audacious Goals)を掲げるのも良しという話

BHAGとはつまり、昔アメリカが月に行こうと言って実現したことや、今のイーロン・マスク氏が火星に行こうと言っているような話のことです(夢が大きすぎて失敗したら大打撃な目標のこと)

良く言えば、夢に満ち溢れた目標、悪く言えば、すごくしんどい目標でしょうか

終わりに

さて本記事では「ビジョナリー・カンパニー〜時代を超える生存の原則〜」の感想について、長々と記載しました

内容的にはとても興味深かったですが、いかんせんちょっと文書量が多いと感じました

もう少し簡潔にできるのではないかと思う一方、長々と記載するスタイルは、読者の頭に強く印象付けようとするイケメン・ジム・コリンズ氏の心優しき配慮なのかも、と一応好意的な推察も記しておきます

また、気力が復活したら続編も読んでみたいと思います(なんでも②が一番人気という噂もあるので…)〆

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