我が家の正月は栗きんとん戦争であった。
正月には母方の実家に帰ることが恒例となっていたが、母親の兄弟の子供たちも集まるので大変賑やかである。そんな子供たちの正月の楽しみは、お年玉、お雑煮、そして栗きんとんである。
栗きんとんはおせちの中に入っている。おせちの他のメニューは子供たちにはあまり人気がない。その中において栗きんとんは子供達には文字通り黄金に輝いて見える(実際に栗きんとんは黄金の色合いをしている)。
そのため、栗きんとんの争奪戦が起きる。我が家ではこれを栗きんとん戦争と呼んでいた。
特にこの戦争は、自分の兄と従弟の間でその激しさを増した。互いに1個でも多く栗きんとんを食べようと牽制し合う。連続で栗きんとんに手をつけようとすると、親にチクったりその非道を糾弾したりするのだ。この戦争に勝利するためのポイントは以下の2つである。
- 親に「栗きんとんばかり食べないの!」と注意されないこと。
- 他のメニューを食べつつ、栗きんとんを食べる余裕を十分に確保すること。
何ともせこい戦いだが、当の本人たちは真剣である。子供の世界というものはそういうものであろう。
なお、自分は栗きんとんの栗が苦手であったため、栗きんとん戦争には加わらずに、横でおせちのかまぼこを食べたり、親の栗きんとんの「きんとん(さつまいも)」部分を分けてもらったりして、平和に過ごしていた。
隣の栗きんとん戦争を横目で見ながら、「まったく、何を争ってんだか」とすましてはいたものの、実は内心の子供心としては、栗きんとん戦争で盛り上がっているのに、そこに参戦できない自分が少し寂しい、というものであった。〆
P.S.
当時から栗とさつまいもの味って似てるよね?と思っていました。栗とさつまいもについて比較した記事はこちらです。
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