トミー・エマニュエル流アコギ弦の選び方/チューニング方法

Tommy Emmanuel(トミー・エマニュエル)によるアコギ弦の選び方およびチューニング方法に関する解説動画について解説します

本動画ではTommyがたくさん喋っているので、まずは簡潔にポイントだけを整理した後、全編の解説(和訳+補足)を掲載します

一番良い弦は何か?

Tommy曰く「ギターによって変わる」が答えです

もっと云うと「同じ弦を張り続けていると、ギターが弦に慣れてきて音が悪くなるので、定期的に弦の種類を変更するのがベスト」とのことです

Tommy本人もこれは「自己流の理論」と断っていますが、Tommyくらいの境地に至るとそういう世界が見えてくるのかもしれません

なお、本動画が撮影された2018年時点ではTommyはD’Addario(ダダリオ)とMartin(マーチン)の弦を交代で使用しているようです

チューニングの手順

チューニングの世界は奥深いですがTommyの手順は概ね以下のようです

  1. 弦を張り替える
  2. 弦を引っ張る⇒チューニングを3,4回繰り返す
  3. チューナーで完全にピッチを合わせる
  4. コードや曲を弾いてチューニングを微調整する

普通の手順と云えば普通ですが、弦の引っ張り方などにこだわりを感じます

なお、Tommyが使用しているチューナーも紹介されていたので、リンクを以下に載せておきます

なお、「TC electronic PolyTune clipはちょっと高い…」という方は「TC electronic UniTune clip」という若干安いバージョンもあります

PolyTuneとUniTuneの違いは、6弦同時チューニングできるポリフォニック・チューナー機能の有無になります

UniTuneの方にはポリフォニック・チューナー機能はありませんが、6弦同時チューニングする機会はそんなに多くないと思われるので、安さを優先したい方はUniTuneを購入すればよいかと思います

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全編の解説(和訳+補足)

弦の選び方について

Tommy Emmanuel(トミー・エマニュエル)です。今日は弦と弦の貼り方についてお話します。よく「一番良い弦は何ですか?」と聞かれますが、私の答えは「ギターと相性の良い弦を選びましょう」です。あなたや私が好きな弦である必要はありません。手に入れやすいブランドとしてはMartin(マーチン)、Gibson(ギブソン)、D’Addario(ダダリオ)、Ernie Ball(アーニー・ボール)、John Pearse(ジョン・ピアーズ )などが老舗でしょう。私が子供の時にはBlack Diamond(ブラック・ダイヤモンド)の弦しかありませんでした。それが気に入らなければ悲惨ですよね(笑)。1種類しか弦がなかったわけです。James Burton(ジェームズ・バートン)に感謝しなければなりません。彼はカスタム弦という考え方を発明しました。彼は50年代前半のRicky Nelson(リッキー・ネルソン)との共演で、テレキャスターにバンジョーの弦を張りました。そのおかげで、今までにないベンディング(チョーキング)を可能にしました。その後にErnie Ball(アーニー・ボール)が現れ、カスタム・セットを作り、それが”Skinny Top Heavy Bottom”や他の”Slinky(スリンキー)”シリーズ等になりました。今日の私のメッセージとしては、最も良い音の弦が見つかるまでいろいろな弦を試してくださいということです。なお個人的には音色よりもチューニングが安定することのほうが重要だと思います。私のようなソロギターの場合はすべてがさらけ出されます。特にチューニングは誤魔化しが効きません。私のメイトン・ギターの場合は、Martin(マーチン)弦との相性が良いです。D’Addario(ダダリオ)やErnie Ball(アーニー・ボール)のコーティング弦なんかもいけます。いくつかのブランドを試しましたが、他の人が良いと云っている弦でも私のギターには馴染まない場合もあります。人それぞれなので、いろいろ試してみる必要があります。もしお財布が許せば、D’Addario(ダダリオ)やMartin(マーチン)等の弦を買って試してみてください。もしお金に余裕がないのであれば手紙を書きましよう。「Gibson(ギブソン)様、いくらかの弦を送付いただけないでしょうか。私は貧しい家庭に生まれてお金がないのです」みたいな感じですかね(笑)。同情や好意に訴えましょう。これは私が昔よくやったやり口なのですが。よく「食べ物を買うお金がないのですが、こんな私でもこの弦を買うことはできますか?」と云っていました。

頻繁に弦を交換するようになって気づいたことがあるのですが、同じ弦をずっと使い続けていると、倍音や音の質感・煌きがだんだんと消えていきます。これはただの自己流の理論なのですが、ギターが弦に慣れてしまうのだと思います。そうなってしまうと、ギターが歌わなくなります。ひとつエピソードがあります。当時、私はギター・テック(ギターのメンテナンスをする人)を採用していたのですが、彼が弦を交換した後、控え室にギターを持ってきて、私はそのギターでウォームアップをし、ステージに出るという体制をとっていました。そのときは彼がギターを持ってきた時点で「弦を交換してくれた?」と訊きました。彼は「今しがた交換したばかりです」と答えました。当時はD’Addario(ダダリオ)弦を使用していたのですが、私は彼に「Martin(マーチン)弦はない?」と訊きました。彼が「ある」と答えたので、弦の交換をお願いし、彼は素早く弦を交換し5分後にギターを持ってきました。するとギターが活気を取り戻したかのように鳴り出したのです!それで「ギターがD’Addario(ダダリオ)弦に慣れてしまったのだな」と思いました。D’Addario(ダダリオ)弦は何も悪くありません。ギターが慣れてしまっただけです。そのため私はツアーのときには、ギターを生かし続けるためにD’Addario(ダダリオ)とMartin(マーチン)の弦を交代で使っています。

弦の交換手順について

弦をホール(ブリッジ部分)に固定して、弦(ネック部分)に余裕を残す(拳ふたつ分程度)ようにホール(ヘッド部分)に弦を通します。次に固定するために弦(ヘッド部分)を曲げます。人差し指で弦(ナット部分)を押さえながら弦を巻き上げます。弦は下に向かって巻かれていきます。ネック部分の弦がナット部分まで巻き上がった時点で、巻き上がった弦は下に向かっていなければいけません。不自然な形になるので上に向かって巻き上げてはいけません。下に向かって巻き上げておけば、完全で安定したチューニング、良い音、良い感覚を弦から得ることができます。もう一度云うと、ホール(ヘッド部分)に弦を通して、弦を曲げて、弦が下に向かって巻き上がるように人差し指で弦(ナット部分)を押さえて、弦を巻き上げるです。弦(ヘッド部分)の見た目は、弦が下に引っ張られているような感じになります。

チューニングの手順について

弦が張れたらピッチを合わせます。まずは弦を引っ張ります。ここ(ナット付近)と、ここ(ネック中央付近)と、ここ(サウンドホール付近)です。今回の場合は既にギターのピッチを合わせてあるので、あまりたくさん引っ張る必要はありませんが、いつもは最低3回、4回は繰り返します。引っ張る、チューニング、引っ張る、チューニングの繰り返しです。これを各弦について行います。こうしてギターがほぼ完全にチューニングできたら、ここ(サウンドホール付近)を引っ張ります。このような感じです(チューニング)。弦が馴染んできたら、いろいろな方法がありますが、できる限りチューニングを合わせていきます(チューナーを使用)。次にコードでチューニングを確認していきます。これはとても重要です。このようなコードを使います。まずはコードA、次に3rdをベースに持ってきます。

次に曲を演奏してチューニングを確認します。これによりギターが問題なく準備できているかを確認できます。チューニングが完璧になるまで、曲を演奏してチューニングする行為を繰り返します。

いつも複数のチューナーを持ち歩いています。手軽にチェックするためにギターにくっつけているのがこのTCエレクトロニクス製のチューナーです。

ライブの前に最も良く使用するチューナーはこれです。

チューナーにプラグを差し込んで、ギター側のアンプ設定のミッドレンジを強くして、優しく音を出します。するとこのチューナーが現在のピッチを表示してくれます。とても正確です。ただ時には、チューナーを使って正確にチューニングしても、耳で聴くと、例えば2弦の音が少し高くなっていることがあります。そのときは少し弦を緩めて、少し弦を引っ張ります。楽器には個体差があるので、それを把握した上でチューニングする必要があります。

いろいろな弦を試して、チューニングに時間を費やして、ギターを綺麗に保ってください。特にベタつきは綺麗にしてくださいね。人の手にはいろいろ付いていますから。私があまり他の人のギターを弾かない理由はそれです。体調が悪くなって注射は打ちたくないですからね(笑)。何はともあれ、今回の話があなたの弦選びや演奏に役に立てば幸いです。

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