【分析】企業の従業員数と平均年収から市場規模を計算してみる

前回、泉田良輔氏の著書「テクノロジーがすべてを塗り変える産業地図」に関する記事を書きました

本書の中で以下のような記述がありました

就業者数×平均給与=市場規模

なるほど、確かにこの計算式である程度の市場規模が測れる気がします

正確にはその産業(企業)で支払われている給与の合計を意味しますが、給与は利益から出ることを考えると、「就業者数×平均給与」は市場規模を示す良い指標になるのではないかと思います

そこで、企業の従業員数と平均年収からその企業の市場規模を計算してみました

企業の市場規模を計算してみる

さて、どの企業を見ていけば良いでしょうか?

よくわからないので、とりあえず日本企業の純利益が高い順に見てみたいと思います

以降、数値は全て企業価値検索サービスUllet(ユーレット)から2020年現在の最新の値を引用します

純利益TOP15企業の市場規模

まずは、純利益TOP15の企業から見ていきましょう

表にまとめると以下のようになりました

No.企業名業種純利益(億円)平均給与(円)従業員数(人)市場規模(億円)
1トヨタ自動車輸送用機器18,0008,500,00074,5156,334
2ソフトバンクグループ情報・通信業14,00012,520,00019224
3東芝電気機器10,0009,150,0002,672244
4ソニー電気機器9,16210,500,0002,519264
5三菱UFJフィナンシャル・グループ銀行業8,72610,670,0002,394255
6日本電信電話情報・通信業8,5459,100,0002,562233
7三井住友フィナンシャルグループ銀行業7,26611,550,000909105
8NTTドコモ情報・通信業6,6368,720,0007,884687
9KDDI情報・通信業6,1769,510,00010,9681,043
10本田技研工業輸送用機器6,1038,180,00022,6751,855
11三菱商事卸売業5,90716,070,0006,016967
12伊藤忠商事卸売業5,00515,190,0004,277650
13日本郵政サービス業4,7947,790,0002,106164
14東海旅客鉄道陸運業4,3877,340,00018,1481,332
15ソフトバンク情報・通信業4,3077,330,00017,1151,255

イメージを掴みやすくするためにバブルチャートにすると以下です(バブルの大きさが市場規模です)

チャートを眺めると以下のことがわかります

  • トヨタ自動車の従業員数が圧倒的に多く、市場規模も最大
  • 商社は従業員が少なくても市場規模が大きい(年収が高い)

改めてチャートを見るまでもない結果かもしれませんが、それにしてもトヨタ自動車の従業員の数と市場規模は圧倒的なようです

日本にとって自動車産業が如何に大事かがわかります

純利益TOP9企業の市場規模(輸送用機器)

トヨタ自動車の凄さがわかったところで、次に業種を輸送用機器(主に自動車産業)だけに絞って見てみましょう

表にまとめると以下です

No.企業名純利益(億円)平均給与(円)従業員数(人)市場規模(億円)
1トヨタ自動車18,0008,500,00074,5156,334
2本田技研工業6,1038,180,00022,6751,855
3日産自動車3,1918,150,00022,7911,857
4デンソー2,5458,160,00045,3043,697
5スズキ1,7876,800,00015,4311,049
6豊田自動織機1,5278,130,00013,8911,129
7SUBARU1,4786,510,00015,274994
8三菱自動車工業1,3287,410,00014,1711,050
9いすゞ自動車1,1347,660,0008,186627

バブルチャートにすると以下です

チャートから以下のことがわかります

  • やっぱりトヨタ自動車が圧倒的
  • そして2番手も3番手を大きく引き離してトヨタ系のデンソー
  • 他の自動車メーカーは割と似たような規模

ここではトヨタ自動車が金メダル、デンソーが銀メダル、本田技研工業と日産自動車が引き分けで銅メダルといった感じです

トヨタ系列強しです

純利益TOP9+α企業の市場規模(電気機器)

ついでなので、最近は国際社会で存在感がぱっとしない電気機器の業種についても見てみましょう

+α分は富士通と日本電気(NEC)を追加しています

No.企業名純利益(億円)平均給与(円)従業員数(人)市場規模(億円)
1東芝10,0009,150,0002,672244
2ソニー9,16210,500,0002,519264
3パナソニック2,8417,740,00062,0314,801
4キヤノン2,5277,780,00025,8912,014
5東京エレクトロン2,48212,720,0001,494190
6三菱電機2,2668,180,00035,2032,880
7キーエンス2,26121,100,0002,388504
8日立製作所2,2258,930,00033,4902,991
9村田製作所2,0697,420,0008,783652
10富士通1,0457,980,00031,8272,540
11日本電気4017,980,00020,2521,616

チャートから以下のことがわかります

  • パナソニックの従業員が圧倒的に多く、市場規模も最大
  • 東芝の凋落が激しい
  • キーエンスの年収が高い

電気機器の職種ではパナソニックの従業員・市場規模が圧倒的に大きいようです

しかし、それでもトヨタ自動車には及びません

また、東芝の凋落が激しいです

昔は日本の三大総合電機メーカーと云えば、日立・東芝・三菱と云った気がしますが、2020年現在は東芝は完全に脱落です

そして、キーエンスの年収が図抜けて高いです

キーエンスは「20代で家が建つ、30代で墓が立つ」とか云われていた気がしますが、相変わらずの高収益体質のようです

なお、年収で云えば東京エレクトロンもなかなか高いです

おわりに

本記事では「就業者数×平均給与=市場規模」の計算式に当てはめて、各企業の市場規模を計算しました

結果としては、トヨタ自動車の強大さを確認することになりましたが、電気産業で云えばパナソニックもなかなかの規模を有しています

トヨタ自動車は現在、ただの製造業から脱却し、プラットフォームやサービスを含めた産業を構築しようとしていますが、これだけの社員を抱える会社の舵を大きく切るのは並大抵のことではないと感じました〆

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