書籍「あなたはステロイドを塗る?塗らない?皮膚科医でも意見が分かれるアトピースキンケア」を読みました
著者は細野クリニック院長の細野周作氏です
本書の特徴的な考え方は、骨格アライメント治療と栄養療法によりアトピー性皮膚炎の痒みを軽減し、ステロイド外用剤の効果を改善するというものです
骨格アライメント治療とは?
栄養療法は、食事療法の一種のため内容の想像が容易ですが、骨格アライメント治療のほうは聞きなれない言葉です
本書によると、骨格アライメント治療とは、骨格の歪みを治して血液循環や自律神経の働きを改善する治療法のようです
そして、血液循環や自律神経の働きが改善されると、アトピー性皮膚炎の痒みやステロイド外用剤の効果が改善するというわけです
この骨格アライメント治療の考え方は、以下の2点に注目して考案されたようです
- アトピー性皮膚炎は一般に左右対称に症状が出る
- 脊髄から出た末梢神経の始点(脊髄側)と終点(皮膚側)の対応関係が判明している
要するに、
アトピー性皮膚炎の症状が左右対称に出る
⇒身体の中心を通る脊髄に問題がある
⇒皮膚炎が出ている箇所に対応する脊髄の歪みを治療すればよい
という考え方です
なお、骨格アライメント治療の詳細については「詳しくは店頭で」的な書き方になっているので、その内容は本書だけではいまいち判然としません
本書を読んだ感想
本書の最大の特徴である骨格アライメント治療については、そのメカニズムの詳細な説明がないため、なんともコメントがしづらいところです
ただ、血液循環や自律神経の働きを改善することを目的とするのであれば、普通に運動すれば良いのでは?と思ってしまいました
そこはさておき、本書で一番良いと思ったのは、以下のようなアトピー治療を取り巻く背景について、わかりやすくまとめられている点です
- アトピー性皮膚炎の標準治療(ステロイドによる薬物療法、スキンケア、アレルゲン対策の3本柱)
- 脱ステロイド・脱保湿療法の賛成/反対意見
- アトピービジネスの背景(生死に直結しない病気、ステロイドに対する不信感等)
- アトピー患者の気持ち(治療に対する満足度が低い)
アトピー治療を取り巻く背景を理解するにはとても良い本です
なお、細野先生は脱ステロイド・脱保湿療法については、以下の理由により推奨しない立場を取っておられます
脱ステロイド:
- 特に大人の場合は、自然治癒力に限界がある
- 強烈なリバウンド症状に対して払う犠牲が大きすぎる
脱保湿:
- アトピー性皮膚炎の皮膚はバリア機能が低下して細菌感染を起こすリスクが高いため、皮膚を清潔&保湿して保護する必要がある
脱ステ経験者のけいやとしても、脱ステの「払う犠牲が大きすぎる」というのは身に染みるものがあります
脱ステすると数ヶ月の単位で日常生活が送れなくなる可能性が高いので、慎重に選択しなければいけない治療法だと思います〆
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