小栗旬が主演する映画「岳 -ガク-」の視聴をきっかけに、「現実世界の遭難ってどんな感じ?」と興味が湧き、書籍「ドキュメント生還―山岳遭難からの救出」を読みました( 映画「岳 -ガク-」 についての記事はこちら)
登山用語がわからない
本書は、実際の遭難者へのインタビューをもとに8件の遭難事例を紹介する内容です
しかし、いざ読み始めて最初に思ったことは「登山用語がわからない」でした
以下に読み進める上で必要な登山用語をまとめておきます
No. | 用語 | 意味 |
1 | 山をやる | 登山を嗜むこと。危険と分かりつつもやめられないことから「ドラッグをやる」的なニュアンスあり |
2 | ~を巻く | 迂回するの意味。「山を巻く」や「谷を巻く」のような使い方 |
3 | ~を漕ぐ | 掻き分けて進む。「藪漕ぎ」「雪漕ぎ」のような使い方 |
4 | アイゼン | 靴底に装着する金属製の爪。雪の上でも滑らない |
5 | コッヘル | 携帯用の小型調理器具。山でも温かい食べ物が食べられる |
6 | ザイル | 登山用ロープ。安全確保のために使う |
7 | シュラフ | 寝袋 |
8 | ツエルト | 携帯用の小型軽量テント |
9 | ビバーク | 野宿・野営。山中で日が暮れたら、取り敢えずビバーク |
10 | ラッセル | 雪をかき分けて進むこと。体力の消耗が激しい |
山登りの心構え
本書の実例では、本格的な雪山登山だけではなく、気軽なハイキングでも遭難が発生しています
「どんなに経験豊富でも、準備万端でも、登山中の些細な気の緩みや不運により遭難する」
これが現実のようです
本書に記された教訓として、以下の4点が挙げておきます
登山計画の提出
登山に出かける前に、家族や友人等に登山計画(登る山、辿るコース、スケジュール)を伝えておきましょう
計画通り帰らなかった場合、家族や友人等が迅速に救助要請を出せます
ツエルト、火、ストーブ、非常食は必携
遭難したら何日もビバークする可能性があります
体温維持に使えるツエルト、火、ストーブ、飢えをしのぐための非常食は必携です
また、孤独な連日のビバーク中は火を見つめるだけでも勇気づけられます
遭難したら救助が来るまでじっと待つ
遭難直後はまだ体力があるので、自力で下山しようと悪あがきをしてしまう傾向にあります
しかし、大抵が軽いパニック状態で冷静な判断ができず、いたずらに体力を消耗する結果となります
なるべく安全な場所で、じっと救助を待ち、体力を温存するのが吉です
「迷ったかな?」と思ったら、すぐ引き返す
「迷ったかな?」と思ったら、来た道を引き返すのが鉄則
闇雲に下山しようとして沢を下ってはいけません(救助隊の空からの発見が難しくなるため)
おわりに
本書では、遭難時に17日間マヨネーズで飢えをしのいだり、凍傷で指を失ったり、傷口から蛆がわいたりと、かなり悲惨なエピソードが語られます
「どうしてそこまでして危険な山に行くのか?」と思ってしまいますが、「山をやる」の表現のとおり、登山には麻薬的な魅力があるのかなと思いました〆
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