久松達央「農家はもっと減っていい〜農業の「常識」はウソだらけ」を読む

けいやには夢があります

将来はさつまいも農家になりたい

だってさつまいもが好きだから

そんな夢ばかり見ていないで現実を見ろよということで久松達央氏の著書「農家はもっと減っていい農業の「常識」はウソだらけ」を読みました

そもそも農家の「の」の字も知らないけいやだったので、日本の農業産業の構造や有機・オーガニックというイメージ先行の言葉の罠などは新鮮な話でとても勉強になりました

ヘクタールって何だっけ?

米農家の平均作付面積は1〜2ha(ヘクタール)で売上にして100万〜200万円である。

この記述を前に「ヘクタールがわからん」といきなり挫折しそうになりました

そういえば小学校か中学校で習ったような…調べたところ以下でした

  • ヘクタール=1万平方メートル=1m×1mの平面が1万個

もっとイメージしやすく表現すると100m×100mの面積です

つまり100m×100mの面積で作ったお米は100万円で売れる量になるということです

よく住宅街の空き地なんかでお米を作っている光景を見かけますが、100m×100mで100万円を知っておくと、だいたいの売上が予想できそうです(そういう小さな農家は、市場に卸すというよりも、自分たちで食べたり、縁故米として親族に配ったりしてそうですが)

かぼちゃの種類

これも本書のメインテーマとは全然関係ないのですが、知らなかったので取り上げます

かぼちゃは英語でパンプキンだとずっと思っていました

正しくはスクワッシュだそうです

かぼちゃにも以下のとおり2種類があります

  • 皮がオレンジ色のかぼちゃ:パンプキン(Pummpkin) ←ハロウィンで見るやつ
  • 皮が緑色のかぼちゃ:スクワッシュ(Squash) ←日本のスーパーで見るやつ

はえ〜、知らなかった

病害三要因

売れる野菜を栽培するためには以下の病害三要因を上手くコントロールする必要があります

  • 植物に病原体がつく(主因) →病原菌
  • 植物の素性や状態(素因) →宿主
  • 環境/栽培条件(誘因) →環境

例えば、農薬で病原菌を殺すことは、病害三要因の主因に対するアプローチになります

農薬を使わない有機農業は、この主因に対するアプローチを制限し、素因と誘因をコントロールして価値ある野菜を生産する農法です

これってそのまんま人間の健康管理の方法の考え方だよな、と思いました

正直、主因に対するアプローチは特別な施設でも用意しないと限界があって、素因も先天的な面が強いだろうから、誘因を上手くコントロールするのが吉だよな、という感想です

エコーチェンバーとフィルターバブル

これまた本書の主題とは関係ないのですが、エコーチェンバーとフィルターバブルって、現代の劣化した(分断を止められない)民主主義の誘因そのものな気がしました

  • エコーチェンバー:意見をSNSで発信すると自分と似た意見が返ってくる状態。閉じた小部屋で音が反響する物理現象に例えたもの。
  • フィルターバブル:アルゴリズムがユーザーが忌避する情報を遮断してフィルターをかけること。泡に包まれたように、自分が見たい情報しか見えなくなる。

有機やオーガニックに踊らされる人たちも、エコーチェンバーとフィルターバブルの餌食になっているのかもしれません

馬とハムスター

永遠に感想が脱線し続けていますが、以下の表現が妙に気になりました

  • ぶら下げられた健康ネタを永遠と追い続けるハムスターの回し車から抜け出ることができない

ハムスターってぶら下げられた餌を追いかけるような行為はしないよね?

たぶんぶら下げられた人参を追いかける馬と回し車で走り続けるハムスターのイメージが融合してこの表現が生まれたのかと想像します

健康を「肉体的・精神的・社会的に満たされた状態」と定義するWHO憲章では、そのゴールには永遠にたどり着けないことを表す表現なのですが、わかりやすくて面白い表現だなと思いました〆

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