安保徹氏の著書「人がガンになるたった2つの条件」を読みました
結論から云うと、人がガンになる2つの条件は「低酸素・低体温状態」とのことです
安保先生の専門は免疫学です
本書では人体のエネルギー製造システムである「解糖系」と「ミトコンドリア系」の観点から、人体にまつわる様々な現象を説明しています
解糖系とミトコンドリア系とは?
人体がエネルギーを得るためのシステムとして解糖系とミトコンドリア系の2種類があります
以下のとおり、本書で述べられる解糖系とミトコンドリア系の特徴を比較してみました
比較項目 | 解糖系 | ミトコンドリア系 |
概要 | 糖を分解してエネルギーを得る単純なシステム | 水素と酸素から水を作り出すことでエネルギーを得る複雑なシステム |
エネルギー量 | 小さい(ATP[1]アデノシン三リン酸2分子) | 大きい(ATP36分子) |
エネルギーの生成速度 | 速い(ミトコンドリア系の100倍) | 遅い |
気性 | 嫌気性(酸素を嫌う) | 好気性(酸素を好む) |
力の性質 | 瞬発力 | 持久力 |
筋肉 | 白筋(速筋) | 赤筋(遅筋)[2]赤筋は鉄が酸化しているため色が赤い(好気性) |
自律神経 | 交感神経優位 | 副交感神経優位 |
白血球 | 顆粒球 | リンパ球 |
生殖 | 精子 | 卵子 |
血液 | ドロドロ | サラサラ |
例えば、無酸素運動をするときは解糖系を使用するため、息を止めて(嫌気性)、瞬発力(白筋)を使い、交感神経が優位となり、血液はドロドロとなる、といった具合です
逆に、有酸素運動をするときはミトコンドリア系を使用するため、酸素を取り込んで(好気性)、持久力(赤筋)を使用することになります
ガンは解糖系
ここで重要なのはガンは解糖系ということです
解糖系ということは嫌気性であり、低体温で血液がドロドロになり低酸素状態となった環境をガンは好みます
ということは逆に、低体温・低酸素状態を改善すればガンは自然退縮するというのが安保先生の主張です
そして、低体温・低酸素状態とは解糖系優位な状態を指すので、ストレスをコントロールして、解糖系優位な生活を脱して、ミトコンドリア系とのバランスを取りましょう、という論旨になります
なお、解糖系が悪いと云っているわけではありません
子供の頃は解糖系優位、20~50代は解糖系とミトコンドリア系の割合は1対1、老年期はミトコンドリア系優位が自然であり、そのバランスが大事ということらしいです
年を取るほど、瞬発力が必要なダッシュよりは、持久力が必要なマラソンが得意になっていく感じと似ていますね
賛否両論の安保理論
解糖系/ミトコンドリア系のバランスを取り戻すためには、ストレスへの対処が一番大事という主張は良いのですが、安保先生は病気は基本的には「自分自身で治すもの」という立場から、ガンの三大療法(手術、抗がん剤、放射線治療)は不要とまで云い切ってしまいます
現在のガン治療と逆行する考え方なので、賛否両論の多い考え方のようです
ただ解糖系/ミトコンドリア系で人体の仕組みを説明する考え方は興味深く、またその説明も割とシンプルでわかりやすいです
人間の自然治癒力に興味がある方には、一読の価値がある本だと思います〆
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