大西農夫明「はじめて課長になったら読む本」を読む

Manager
Thinking

 

部下「課長って何を考えて仕事してるんだろう?」

 

 

そんな疑問に答えてくれるのが大西農夫明氏の著書「はじめて課長になったら読む本」です

今現在、課長である人であれば課長研修等で既に学んだ内容かもしれませんが、課長のもとで仕事をする部下にとっても読んでおいて損はない内容です

本書の感想

課長の仕事とは何か

個人的な印象ですが「俺はプレイングマネージャだ!」と云ってバリバリ実務をしながら管理業務もこなすのが日本の課長像な気がしていますが、もちろんこれは正しい課長像ではありません

課長の仕事は一言で云うと「職場の風通しを良くすること」です

もう少し具体的に表現すると以下のようになります

  • トップダウンの橋渡し:経営者の要求を具体化し部下に伝える
  • ボトムアップの橋渡し:問題点や改善点を経営者に伝える

ですので、課長に求められるのは経営者と従業員の間を繋ぐコミュニケーター的な機能であり、実務をバリバリこなすのは部下の仕事となります

とは云っても、「そんなのは理想論で実際は実務もしなければ現場はまわらないよ!」というのがどの職場でも実情だと思います

課長の仕事の内訳

ですので現実的には、課長の実務は50%以下にしましょう、というのがひとつの目安になります

課長の仕事の内訳を図に表すと以下のような感じです

各業務の詳細については本書を読んでいただきたいですが、課長・部長と職位が上がるほど職場の維持業務(実務)の割合は減っていきます

経営者に近づくほど運営業務(本来すべき仕事、創造的な仕事)の割合が高くなっていきます

課の機能体系図

本書では課の機能体系図を作るようすすめています

これにより課の機能をすべて洗い出し、できている機能/できていない機能を明確化することができます

機能体系図のイメージは以下のような感じです(例なので「ブログ運営」で機能を展開してみました、本書では購買課等の例で機能が展開されています)

だいたい4次機能くらいまで展開します

そして各機能に管理点(図では括弧書き)を設定します

この管理点の推移を定期的にチェックし、課の目的が果たせるように部下を指導するのが課長の仕事となります

実際にこの機能体系図を作成するのはかなり大変な作業になりますが、「管理する」とはそういうことらしいです(管理は楽じゃない)

人に仕事をつけない

上記の課の機能体系図はいろいろなところで活躍します

例えば、課長と主任の仕事の分担を、1次、2次機能の達成は課長、3次、4次機能の達成は主任が管理する、というような感じで決めることができます

また、機能体系図に記載のない仕事は排除するなどの整理がしやすくなります

この機能体系図がないと「人に仕事をつける」原因にもなるようです

「人に仕事をつける」とは、個人の力量で仕事の範囲が決まり、組織としての活動ができない状態を指します

人が異動したら、仕事も一緒に異動してしまはないよう組織として仕事をしたいものです

課長と主任の違い

課長と主任の違いについても触れられています

  • 課長:課が求められる仕事ができるようにする
  • 主任:お手本を見せ、部下ができないことをできるように指導する

違いとして重要なのは、実務ができる/できないではなく、運営業務をしているか/していないかです

なので考え方としては、実務能力が低くても、運営能力が高いのであれば課長は務まります

しかし、日本では実務能力が高いが、運営能力が低い人が多い傾向にあり、「課長になってからめっきり活躍できない」という例も多いようです

おわりに

課長の方が本書を読んだ場合、「わかってるけど実務に追われて運営業務ができないんだ!」という声が聞こえてきそうですが、それでも本来あるべき姿と現在の姿のギャップを認識することは良いことだと思います

また、課長でない方も、課長がどんなことを考えて仕事を振ってきているのか理解する一助になると思います

課長以下の方は是非本書を手にとってみてください〆

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